今春のセンバツでエースとして優勝に貢献した東邦・石川昂弥投手(3年)は「三塁」をメインに出場する。背番号も「5」が濃厚。世代最強の二刀流がバットで春夏甲子園連覇に導く。ノーシードの東邦は30日に初戦を迎える。

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甲子園のマウンド上で両腕を突き上げた石川の姿は記憶に新しい。春の主役だった怪腕が最後の夏を事実上「打者」として迎える。関係者によると三塁での出場がメインになり、背番号も「5」が内定済み。エース番号は最速142キロ左腕の植田結喜(3年)が背負うとみられる。

主将として抽選会に臨んだ石川は「夏は暑いし、試合数も多い。春のように自分が(ほとんど)全部投げるわけにいかない。ほかの投手もとても調子よく、いい状態だと思う」と現状を明かした。「投手をやるときはエースの気持ちで投げる」。絶対的右腕が大会のどのタイミングで投入されるかも注目される。

決勝の習志野(千葉)戦の3安打完封などセンバツ5試合で計40回、防御率0・90の数字を残した。大会後は体調回復と他の投手の育成のため、野手に専念。春季大会は1回戦敗退した。その後も投手としてはほとんど稼働せず、愛知県高野連の主催で日大三(東京)を招いた8日の練習試合でも「3番三塁」だった。

センバツで3本塁打、高校通算52発の石川自身は以前から「自分は野手」と断言してきた。スカウトも野手でトップ級の評価をしている。打者としての真価が問われる夏にもなる。

ノーシードの東邦は30日の1回戦で天白と対戦。順調なら4回戦でシードの享栄と激突する。森田泰弘監督(60)は来年3月で退任予定。石川は「長い間、コーチや監督でやってらしても夏の優勝は1度もない。監督の最後の夏に必ず優勝したい」。平成最後の春&令和最初の夏という時代またぎ甲子園連覇を宣言した。【柏原誠】

<東邦・石川のセンバツとその後の歩み>

◆センバツ1回戦 富岡西戦で1失点完投。

◆同2回戦 広陵戦で1号本塁打を放つ。

◆同準々決勝 筑陽学園戦で7回2失点の好投。

◆同準決勝 明石商戦で完投勝ちを収める。

◆同決勝 習志野戦は石川の独り舞台。1回にはバックスクリーンに2ラン、5回には右中間最深部に2ラン。投げては3安打無四球での完封勝ち。「同一試合で完封、2本塁打」は、甲子園では決勝に限らず春夏通じ初の快挙。

◆春季愛知県大会 初戦で中部大第一に敗退。夏の愛知大会シード権を逃した。登板せず野手として内野安打2本を放ち「また一から、謙虚に練習に取り組みたい」と気を引き締めた。

◆石川昂弥(いしかわ・たかや)2001年(平13)6月22日生まれ。愛知・半田市出身。愛知知多ボーイズ。東邦では1年春からベンチ入り。2年春の甲子園は4番三塁で出場。高校通算52本塁打。投手として最速144キロ。185センチ、81キロ。右投げ右打ち。