「高校四天王」の一角、横浜の最速153キロ左腕・及川雅貴投手(3年)が、光明学園相模原戦で今夏初先発した。5回を2安打6奪三振で無失点。最速は146キロながら、荒れない「大人の投球」で、春からの復調ぶりを披露。

自ら適時打を放ち、犠打と盗塁も決めるなど攻守で存在感を発揮。5回コールド勝ちでベスト8進出に導いた。

大会4戦目にして、横浜の背番号1がようやく、まっさらなマウンドに上がった。立ち上がりからストライク先行で追い込むと、キレのいいスライダーを低めにズバリ。まれにカウントを悪くしても動じずに打たせて取った。5回を58球で締め「そんなに荒れることもなく、いい感じで投げられました。真っすぐがよくて、その分、変化球も効いたと思います」と笑顔で振り返った。

不調だったセンバツ以降、フォームの改造に着手。以前はスピードを求めるあまり、体のひねりを大きく効かせていたが、今は「ほとんどひねらないイメージ」で投球。練習ブルペンから打者を立たせるなど、実戦をイメージして制球力向上に励んできた。この日は2つの四球こそあったが「荒れたというより、惜しいフォアボール」と問題視しなかった。

ネット裏では西武、DeNA、阪神など7球団のスカウトが視察。西武渡辺久信GMが「センバツ以来だから、すごくよく見える。バランスよく投げられているし、スライダーもキレている」と言えば、DeNA稲嶺スカウトも「今年、一番いいんじゃない。テンポもよく、成長が見られますね」と評価も再上昇だ。

大船渡(岩手)佐々木朗希投手、星稜(石川)奥川恭伸投手(ともに3年)ら、ライバルの情報も耳に入るが「意識しないわけじゃないけど、チームが最優先。チームを勝たせるエースの役割を果たしたいです」。最後まで「大人の対応」で、成長ぶりを示した。【鈴木正章】