福島で13連覇を狙う第3シード聖光学院が、第6シード学法福島を5-3で下し準決勝進出を決めた。先発した背番号10の右腕・佐藤楓真(3年)が7回2/3を7安打11奪三振3失点と踏ん張り、背番号1の左腕・須藤翔(3年)とのダブルエースに名乗りを上げた。

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13連覇を目指す聖光学院に、頼もしい2枚看板がそろった。「マウンドに上がったらエースだと思って投げている」。背番号10の佐藤楓は、自信を胸に得意のスライダーを投げ込んだ。1-0で迎えた6回裏2死満塁のピンチで、辻垣高良(2年)を空振り三振に仕留めると、ガッツポーズでほえた。斎藤智也監督(56)は「1本立ちさせて、軸にしたい。5回で十分だったがよく投げたと思います」と合格点を与えた。

入学以来、故障に泣かされてきた。1年時は腰椎分離症で、2年になる直前にようやく投球できるようになった。昨年はBチームのエースとして夏の甲子園に帯同し練習をサポートした。「すごい先輩ばかりだったのに、力を出し切れないで負けた。いい経験になりました」と「空気」を感じ決意を新たにした。

直後の秋季大会前に右肩痛を発症。今年の春季県大会直前には、右肘の疲労骨折で再び離脱した。チームは地区大会と県大会で2敗を喫し、「いつも大会前に故障して迷惑をかけた。夏には絶対に戻ってやる」とリベンジを誓った。

地元伊達市出身で梁川中時代は、醸芳中の須藤と伊達選抜で同僚だった。小泉徹平内野手(明大2年)に憧れ、三塁手を希望して入学も、初日に目にした上級生たちが受ける厳しいノックを見て「自分には無理だ」と投手に切り替えた。昨夏、2年生投手で唯一甲子園を経験した左腕須藤に対しては、「負けたくないとやってきた。今年は衛藤さん(慎也=関学大1年)のような豪腕がいない。みんなで支え合いながら切磋琢磨(せっさたくま)していきたい」とさらなる成長を目指す。斎藤監督は「ここから先は想像を絶するつらく長い戦いになる」と、険しい道のりを覚悟する。頂点まで残り2試合。頼もしい右のエースが絶対王者に加わった。【野上伸悟】