第101回全国高校野球選手権大会(甲子園)は14日、初戦を突破した仙台育英(宮城)と鶴岡東(山形)が2回戦に登場する。

13日は両校とも兵庫県内で調整。鶴岡東は今春センバツ準優勝の習志野(千葉)と対戦。高松商戦でダメ押し本塁打を放った竹花裕人(ゆうと)外野手(3年)が、勢いそのままに同校初の1大会2勝に向かって突き進む。

   ◇   ◇   ◇

笑顔なきダイヤモンド1周の真相が明らかになった。高松商戦の9回表2死一塁、鶴岡東の2番竹花はバスターの構えから内角直球を振り抜いた。U18日本代表候補の左腕・香川卓摩(3年)から放った2ランにも表情は硬く、走り方もぎこちなかった。「足がつりかかって…」。無事本塁に戻るのに必死だった。

5回の死球で体が硬直し、左太もも裏がおかしくなった。初戦の緊張から水分捕球も忘れ、終盤は両足がおかしくなった。佐藤俊監督(48)も「代えようか迷ったけど、最後だし思い切り打ってこいと」とダメもとで送り出した。普段は犠打や進塁打を求められる2番打者は「珍しく思い切り振ってこいと言われて」と、一振りに集中した。

昨秋は背番号8の5番も結果を出せなかった。冬に徹底的にバットを振り、最後の夏に懸けてきた。「人よりやった自信はあった」。5月の春季県大会、初戦の第1打席で死球を受け左足小指を骨折。心が折れた。「夏に間に合うか不安でくじけそうになり、やめようかと思った」。周囲の激励で何とか踏みとどまった。

リハビリを経て山形大会で4割7分4厘と復活。背番号も18から9となり聖地に立った。9回裏の守備には気力で向かった。「代わりたくなかった。飛んで来ないでくれと願っていた」と、三塁打の処理に苦労して苦笑い。「初戦の反省を生かし、しっかり水分補給します」。初の甲子園2勝を目指し「最後まで」躍動することを誓った。【野上伸悟】