新潟産大付が新潟明訓に7-8で競り勝ち、今春以来の8強入りを決めた。0-1の1回1死一、三塁に1年生の4番、五十嵐魁右翼手が左越えに逆転の3ランを放った。

勢いに乗った打線は5回までに8得点。終盤には新潟明訓の反撃に遭うが逃げ切った。延長戦にもつれ込んだ公立校対決は巻が延長12回、三条にサヨナラ勝ちした。今日22日は試合がなく、準々決勝は23日に行われる。

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一塁ベースを蹴って、新潟産大付・五十嵐は右手を突き上げた。ホームを踏んで雄たけび。祝福に手を差し出すベンチのナインとハイタッチを終えると、右拳を握り締めながら再びの雄たけびを上げた。0-1の1回1死一、三塁。カウント2ボール、1ストライク。4球目の真ん中低めのスライダーに鋭い一撃を加えた。打球は98メートルの左翼のサクを越える公式戦初本塁打。序盤に飛び出した逆転3ラン本塁打は味方を一気に活気づけた。打線は5回までに8点を奪った。

「1死だったから犠飛でもいいと、気楽に打席に入った」と1年生の主砲は強心臓ぶりを見せた。167センチ、70キロ。決して身体に恵まれてはいないがスクワット150キロと強靱(きょうじん)な下半身を持つ。新チーム始動時から任されてきたのが4番。8月に三条市周辺で開かれた「次世代育成大学サマーリーグ」での明大とのゲームでは本塁打を放った。「夏は実戦を積んできたから試合慣れした。緊張もない」。入学時、80キロあった体重は約半年で10キロ減っている。厳しい練習を手抜きなしで取り組んだ証明だ。

吉野公浩監督(52)は喜びを抑えられなかった。「興奮した。県をリードするのは日本文理、新潟明訓、中越の私学勢。その1つに勝った。よくやってくれた」。終盤には新潟明訓の粘りに1点差まで詰め寄られたが、逃げ切った。「目標は優勝して北信越」と話した五十嵐は続けた。「過信ではなく自信にしたい」。【涌井幹雄】