日大山形が3-2で山形中央にサヨナラ勝ちし、2年ぶり27度目の東北大会出場を決めた。

同点の9回裏1死、6番佐藤拓斗内野手(1年)が右越えに公式戦初本塁打を放ち、17年夏以来の県王座奪還に王手をかけた。

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1年生スラッガーの劇的サヨナラ弾で、日大山形ナインは歓喜を爆発させた。まさに険悪ムードを吹き飛ばす起死回生の一撃だった。直前、この回先頭で出塁した一塁走者が捕手けん制で憤死。送りバントのサインから急きょ、攻撃プランを変更された左打者の佐藤拓は、2ボールから内角低めスライダーを強振。本塁で喜ぶ仲間たちに迎えられた。自身、県大会12打席目での初安打。「とにかく塁に出て後ろにつなぐつもりでした。体が反応して回転しました」と殊勲打を振り返った。

春にベンチ入り。だが夏はベンチから外れた。新チームでは当初3番だったが6番に降格。今大会も準々決勝は先発から外れる悔しさを味わった。前日練習では荒木準也監督(47)から「体重移動」を指摘され、右腕・鹿野一斗(2年)に打撃投手を依頼して約1時間の自主練習を行い、手打ちだった打撃フォームを修正した。身長182センチ、体重80キロの恵まれた体格。この日は2犠打も決めてチーム打撃に徹した。荒木監督は「誰も予想していない結果」と和ませながら、「三振しないバッター。打った瞬間、いったと思った。よく振り抜いた」と評価した。

決勝の相手は、今春の県決勝で敗れた鶴岡東。その悔しさを知る左腕・加藤永遠(とわ、2年)は町田紘司朗捕手(2年)とバッテリーを組み、7安打2失点と踏ん張った。目指すは、自校が持つ記録を更新する3年ぶり15度目の秋優勝。佐藤拓は「先輩たちの借りを返すためにも勝ちたい」と気を引き締めた。【佐々木雄高】