昨秋の県大会優勝校・北越が新潟明訓を4-3で破り、16強入りを決めた。主将でエースの阿部柚士郎(3年)が7安打3失点の粘りの投球を見せた。秋夏“連覇”へ、難関を突破した。4回戦は東京学館新潟と対戦する。加茂暁星は延長10回タイブレークの末、1-0で帝京長岡に競り勝った。4回戦8試合は8月1日に行われる。

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大きく腕を広げた北越・阿部が満面の笑みでマウンドを駆け降りた。最後の打者を二ゴロに打ち取ると喜びを爆発させた。「勝てて良かった」。3者凡退は2、3回だけ。4、5回は四死球で先頭打者を出した。それでも要所を締めた。8回1死一塁は併殺、9回1死二塁からは後続を凡打に打ち取る。4-3、1点の最少リードの中、終盤のピンチを落ち着いてしのいだ。

試合前、チームメートに「多分、打たれるから」と話した。新潟明訓には6月28日の練習試合で3-8で敗れていた。阿部は7失点。「練習試合で投げなかった球を使って打たれた球を見せ球にした」と、この試合は策を駆使。縦の変化球を軸に緩急をつけた。3回に3番佐藤圭遊撃手(3年)が左翼へ2ランを放つなど味方は4回までに4得点。「みんなのおかげで打たせて取ることができた」。バックともしっかりかみ合った。

「いいムードで戦えた」。小島清監督(45)は選手の結束に目を細めた。16日の練習中、背番号15の長谷川丈翔(たける)内野手(3年)があごを骨折。28日の手術を控え、ベンチ入りできなくなった。「ベンチリーダーでムードメーカー」(小島監督)のユニホームをベンチに置き、回が終わるごとに全員で大声を出した。決勝予定日、8月6日まで勝ち上がれば長谷川も復帰できる。

試合巧者の新潟明訓に競り勝ち、昨秋に続く県制覇に自信を深めた。「うれしいけど、まだ3回戦を終えただけなので」。最強を証明するための夏。阿部はさらに気を引き締めた。【斎藤慎一郎】