日大一の早川俊内野手(3年)は右腕を思いっきり振った。1点ビハインドの7回表2死二塁。低めのスライダーを振り抜き、左中間へ一時同点に追いつく適時二塁打を放った。8回に勝ち越しを許して2回戦敗退となったが、背番号「13」が最後の打席で結果を残した。

ケガを乗り越えた。1年時の6月の練習試合でヘッドスライディングした際に右肩を脱臼。手術を受け約9カ月間、離脱した。2年生の秋は正一塁手だったが今年3月、「投げすぎて痛くなった」と送球ができなくなった。週2回のリハビリに通い、打撃力を認められて今夏、ベンチ入りを果たした。しかし、肩の状態は良くならず、今でも送球時には痛みがある。塁間が届くほどで、バックホームも厳しい状態。外野からの中継プレーは二塁手に任せた。

この試合は「6番一塁」で先発出場。右肩はテーピングでがっちり固められていた。「仲間からは『投げられない分、はしゃいでいればいいよ』と言われました」。守備の時も、ベンチにいる時も、常に一番大きな声を出して、仲間を鼓舞した。

7回の適時二塁打後には、二塁ベース上で思わずガッツポーズ。「危なかった。テーピングしていなかったら外れてました」とほほえんだ。高校最後の試合となったが「一番面白くて、一番楽しかったです。悔いはありません」。右肩の影響もあり、野球は高校でやめる予定だ。最後の打席で結果を出し、無意識に出たガッツポーズだった。