明秀学園日立がラッキーボーイ久保田翔太内野手(3年)の活躍で、8回コールドで勝利を決めた。

1回表、1死一、三塁でバッターボックスには4番の久保田。「センターに返そうとしたら打ち損ねてしまった」という低い打球は遊撃手の失策を誘い三塁走者がホームイン。先制点が入った。2-2の同点で迎えた5回表には、1死二、三塁から外の真っすぐを中堅へ打ち返し、2点勝ち越し打に。打線に勢いをつけコールドにつなげた。

チームバッティングは忘れない。「初球から大きい1本を狙わず。コンパクトに振る」とつなぐ意識を心がけた。追い込まれると、指3本分、短くバットを握り、球を呼び込んで振り抜く。「チームで徹底していることは、4番の自分が取り組む姿勢で表さないといけない」と「強打の明秀」の打線を引っ張った。

金沢成奉監督(54)は「野球には人間性が出る。久保田は今まで真面目に取り組んできた選手。何とかしてくれると思っていた。今日はラッキーボーイ的存在でしたね」と全幅の信頼を示した。

努力の4番だ。久保田の兄・拓真さんは現在、関西大3年で正捕手を務める。津田学園(三重)では甲子園出場も果たし、昨秋の明治神宮大会では準優勝に貢献。早くも来年のドラフト候補として名前が挙がる。久保田は小1で兄の影響で野球を始めてから、兄は常にライバルであり、目標だった。「兄は何でもすぐにできた。でも、弟の翔太は同じことがすぐにできない。小学校のころから兄に追いつくために、努力して取り組むようになりました」と父浩司さん(47)は話す。当時は一緒に練習しても、兄はポイントをつかみすぐに切り上げる。久保田は夜10時近くまでバットを振り続けた。兄に追いつくために、努力することを学び、成長した。

「次の試合が最後になる。3年生全員、悔いを残さないように気持ちを1つにして勝ちを目指します」と力を込める。完全燃焼の夏を誓った。【保坂淑子】