最速147キロを誇る今秋ドラフト候補の瀬田工・小辻鷹仁(たかと)投手(3年)が先発し、貫禄の投球でチームを8強入りへ導いた。5回まで2安打無失点。6回以降は右翼守備についたが、9回に再登板しピンチを切り抜けた。9日準々決勝は近江との大一番。土田龍空(りゅうく)内野手(3年)との「プロ注対決」を制し、4強進出を目指す。

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1度は降りたマウンドに、エースが戻ってきた。6回以降右翼守備に就いていた小辻が、1点リードの9回無死一塁で再登板。ギアを上げた直球は、トータルで100球に迫っても、この日最速の144キロを計測した。最後は「狙っていた」と10個目の三振で締めた。

ピンチで頼れる速球だが、それ以上に追求していたものがある。この日のテーマは「テンポとコントロール」。初回に2安打と四球で満塁のピンチを作ったが、その後は無安打。「70%の力」で直球と縦横2種類のスライダーを軸に主導権を握った。「マシンを速めに設定して打ち込んできた」という北大津打線を5回まで2安打無失点。初戦で8四死球と課題だった制球も、この日は2四死球に抑えた。「力まない方がキレが増した」と連戦に対応できる新スタイルに手応えを感じた。

すでにプロ志望届は提出済み。この日は阪神、オリックスなど5球団のスカウトが熱視線を送った。阪神畑山統括スカウトは「丁寧に投げていた。ピンチで力を入れたり、いろんなことができると見せてくれた」と評価。投げるたびに高まる注目度に小辻は「モチベーションになる。自分のことをみんなに知ってもらいたい」。期待を力に変える性格も頼もしい。

連戦となる9日準々決勝は、3年連続滋賀の頂点を狙う近江と激突する。同じくプロ注目の土田について「相手は木製バットだし、負けられない。近江の連勝を止める」と宣言。頼もしいエースが大一番でも勝利をたぐり寄せる。【中野椋】

オリックス下山スカウト「先を見据えて、出し切っていない中でこの三振の数は力があるということ。変化球もストライクを入れる能力がある」

◆小辻鷹仁(こつじ・たかと)2003年(平15)2月10日、滋賀県栗東市出身。小2から葉山ウインズで野球を始め、葉山東スピリッツにも在籍して当時は野手。中学は大津北リトルシニアで投手。瀬田工では1年夏からベンチ入りし、2年春からエース。機械科に所属し「第二種電気工事士」の国家資格を持つ。181センチ、82キロ。右投げ右打ち。