<甲子園高校野球交流試合:創成館4-0平田>◇11日◇甲子園

試合の裏に、高校野球ならではのドラマがあります。「心の栄冠」と題し、随時紹介します。

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2人分の思いを抱えて、聖地にやってきた。平田・高橋大樹内野手は小学5年生だった7年前の8月8日、当時同1年生の弟憲史君を海難事故で亡くした。野球が大好きだった弟は、6歳だった。

何度も弟の練習相手になった。ボールを投げたら、思い切り打ち返してきた。朝早くから、野球をしようとたたき起こされた。「僕よりうまかったです」。元気な弟の姿を思い出す。

もう会うことは出来ないが、何度も支えてくれた。高橋は悩んだ時、最後に弟と過ごした海に向かう。中学時代に腰をけがした時も、打撃の調子を落とした時も。憲史君と話している気がして、前向きになれる。命日は毎年、墓参り。「甲子園、頑張ってくるよ」と弟に約束してきた。

実力校・創成館と競り合い、6回1死一塁では三-二-一の併殺で相手の追加点を阻止。「守りの平田」を体現した。「これからも野球を続けたい。バッティングはうまくいかなかったけど、頑張ったよと声をかけたいです」。島根に戻ったら、真っ先に伝えたい。【望月千草】