最後の打者になった。9回2死走者なし。東海大相模・西川僚祐外野手は遊ゴロで駆け抜けた。1年ぶりの甲子園で、またも逆転負け。「やりたいことをやらせてもらえない。思うようにいかない場所だと改めて思いました」と打ち明けた。

昨夏は8打数無安打。自身の甲子園初安打が一時逆転を呼んだ。0-1の7回無死一塁。高校通算本塁打は「55から57本ぐらい」と話す大砲が、一、二塁間をしぶとく抜いた。エンドランを決め、この回の2得点につなげた。「フライを上げないように。とにかく転がそう」とチームプレーに徹した結果だった。だが、終盤の3失点で敗れた。

チームは本気で「春夏全国制覇」を掲げていたが、新型コロナウイルスで挑戦すらできなかった。それでも相手が大阪桐蔭に決まると、練習前、誰彼となく「桐蔭!」と叫ぶのが日常に。大阪桐蔭を倒すことが日本一になると考え、モチベーションを上げた。西川は練習用帽子のつばの裏に、逆転負けした昨夏3回戦(中京学院大中京戦)のスコア「9-4」を記した。その悔しさは晴らせない。「次は負けられない。優勝して終わりたい」。8強まで来ている神奈川の独自大会を向いた。【古川真弥】

▽東海大相模・門馬敬治監督(大阪桐蔭・薮井の決勝打に)「ファウルで粘られ、投げる球がなくなった。大阪桐蔭の点に対する執念を感じた。負けて感じることが大事。切り替えられるか分からないが(神奈川大会に)全力で臨みます」

▽東海大相模・鵜沼(大阪桐蔭は)「みんな気迫があって、追い込まれても低めの球に食らい付いていた。自分たちは、そこでバットに当たらないことが多かった。気持ちの面で強いなと思いました」

▽東海大相模・山村「横浜と大阪桐蔭は一番意識する相手。本当にライバル。(大阪桐蔭は)やっぱり強かった。1球に対する執念がすごかったです。自分たちの甘さが出ました」

▽東海大相模・神里(DeNA神里の弟が7回、一時逆転打)「(兄から)『絶対に勝つ気持ちと同時に憧れの場所を楽しめ』と言われました。夢見てきた場所。素直にうれしかった」

▽東海大相模・門馬(門馬監督の次男が8回、代打で甲子園デビューし遊ゴロ)「(来年は)自分がチームをまとめられるように頑張りたいです」