ノースアジア大明桜の最速153キロ右腕・風間球打(きゅうた、3年)が“圧投”した。本荘打線を4安打無四球13奪三振で完封。この日は明桜のスピードガンで最速151キロを計測し、大台は125球中14球(150キロ8球、151キロ6球)でマークした。視察に訪れた7球団13人のスカウトをうならせる完璧な内容で、チームを県大会本戦へと導いた。

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風間が当たり前のように150キロ台を連発した。試合終盤、スタミナ切れを起こすどころか、ますます力強さが増していく。9回、2者連続三振で2死。後続に二塁打を浴びたが、連打を許さずに三振締め。「9回に失点したらそこまでのピッチャーなので、ギアを上げて投げました。疲れはあまり感じなかった」。150キロ台は8回までに6球だったが、9回だけで8球計測。底力を発揮した。

昨秋の県大会地区予選初戦で初完投を完封で飾って以来、公式戦で2度目の完封劇だ。試合前に輿石重弘監督(57)から「ノーヒットノーランを目指そう」と声をかけられ、5回に初安打を許すまで無安打投球を続けた。同回までは6者連続を含む毎回の奪三振。直球、カーブを軸に相手打線を翻弄(ほんろう)した。

楽しむ余裕もあった。5回は二塁打、7回は単打とそれぞれ先頭に出塁された。昨年の風間なら焦り、力んで失点していたかもしれない場面だったが、「ランナーを出しても『打ち取れればいける』と自分のペースで投げられた」。今冬のカーブ習得が“圧投”につながっている。「去年はストレートばかりで押して疲れが出たが、決め球でも(カーブが)使えるので、あまり疲れなくなった」。直球とのスピード差は約40キロ。投球の幅が広がったことがスタミナ温存、心の余裕といった相乗効果をもたらした。試合後には開口一番、「楽しく投げられて良かった」と笑顔を見せた。

エースが初戦の5回無失点に続き完封。2試合計14イニングでゼロを並べ、県切符をつかんだ。輿石監督は「無四球で立派な投球だった。勝てるピッチャーになってきた」。風間は「自分たちの代で春の県大会を優勝し、東北大会も制して『東北で圧倒的に勝てるぞ』というか『全国に明桜は強いんだぞ』というのを見せたい」。東北NO・1右腕が、自身とチームの最強証明に挑む。【山田愛斗】

▼巨人水野スカウト部参与 すごいピッチャー。力強いし、コントロールもある。あちこちボールが暴れることもないし、高校生の中ではかなりすごい素材だと思う。

▼ソフトバンク作山スカウト ピッチャーとして球の速さ、力強さだったり総合的に能力が高く、欠点がない印象。全国で活躍する投手と同等か超えられるような素質がある。

▼日本ハム白井スカウト 真っすぐが素晴らしい。ボールの力は高校生でトップクラス。変化球もカーブやスライダーだったりいろんな球種があるけど、何よりもストレートが魅力的。