新四天王の一角だ!! 今秋ドラフト上位候補でノースアジア大明桜(秋田)の最速153キロ右腕、風間球打(きゅうた)投手(3年)が、夏初戦となる能代戦で7回2安打無失点12奪三振の快投。自己最速タイの153キロ含む150キロ台を計6球マークしながら、変化球4球種も生かす脱力投球を披露し、視察した11球団のスカウトの前で強烈なインパクトを残した。

世代を代表する右の好投手、高知の森木大智、市和歌山の小園健太、天理(奈良)の達孝太(いずれも3年)に知名度では劣るものの、今夏、全国にその名をとどろかせる。

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最後の夏が幕を開けた。風間は「スーパー1年生」と注目され、19年春からベンチ入り。3度目の夏を「スーパーエース」として迎えた。19年夏は最速138キロでデビューし、同秋に141キロ、昨夏は大台の150キロとステップアップ。今年3月には初めて153キロを計測した。この日の初戦は7回無失点と堂々の結果を残し、「夏の大会で緊張したが、初回から強気に投げる気持ちでマウンドに立ち、いいピッチングにつながった」。5四球と制球に苦しんだ場面もあったが、自らに合格点を与えた。

渾身(こんしん)の真っすぐを外角にズバッと決めた。4-0の4回2死二塁。打席に相手6番を迎え、カウント2-2から自己最速タイの153キロを投じ、前打者から連続見逃し三振に仕留めた。初めて得点圏に走者を背負うも、難なく切り抜けた。5回には1死満塁のピンチを迎え、「ここで1点取られたらそこまでのピッチャー」。ギアを上げて遊飛、左飛に打ち取った。

この日は150キロ台を計6球(150キロ4球、151キロ1球、153キロ1球)投げ込んだ。さらにスライダー、カーブ、フォーク、チェンジアップの変化球4球種を操り、直球よりも変化球を多投。初戦は「脱力」がテーマだった。

風間は山梨出身で、同郷である輿石重弘監督(57)の存在も心強く感じ、明桜に入学した。父啓介さんが塩山商で高校球児だったこともあり、水島新司氏の漫画「球道くん」にちなみ、4兄弟全員の名に「球」の一文字が入る。5歳上の長男球道(きゅうどう)さんは山梨学院大付、3歳上の次男球星(きゅうせい)さんは甲府工で高校野球を経験。5歳下で中学1年の四男球志良(きゅうしろう)さんも野球に打ち込んでいる。

最速158キロと自身初の甲子園出場の二兎(にと)を追う。「160キロを目指すのもありだが、自分の中では無理かなというのがあり、155、58みたいな感じで決めました」。聖地で投げ合いたい相手は「森木投手、小園投手、達投手」とライバルの名を挙げる。四天王の地位を盤石のものとするために、今夏は大黒柱として右腕を振り続ける。【山田愛斗】

<風間球打(かざま・きゅうた)アラカルト>

◆生まれ 2003年(平15)10月11日生まれ、山梨県甲州市出身。「山梨と秋田を背負って野球をやっているが、特に山梨県はプロ選手があまり出てないので、自分が活躍して盛り上げたい」と郷土愛は強い。183センチ、81キロ。

◆野球歴 奥野田小1年時に野球を始め、同3年時から投手に転向。塩山中時代は笛吹ボーイズでプレー。明桜では1年春からベンチ入り。右投げ左打ち。

◆特技 サッカーとダンス。「スポーツ万能でめちゃくちゃうまいです」とチームメートも絶賛。

◆憧れ エンゼルス大谷を尊敬し「野球面もそうだし、人間性でも素晴らしい人。誰からも愛され、一生懸命やっている姿を見て好きになりました」。実は海外サッカー通で「当たり前のように仕事をしてすごい」と、リオネル・メッシ(バルセロナと契約満了)もヒーローの1人だ。

▽DeNA欠端スカウト 直球が素晴らしかった。常時145から152キロで、制球、キレ、球威があった。カット、スライダーも右打者の外にコントロールされ、追い込んでからのフォークも良かった。腕の振り、躍動感もいい。実力、ポテンシャルともある。センバツで見た天理・達、市和歌山・小園の両投手と甲乙つけがたい。

▽中日八木スカウト 圧倒的な真っすぐがありながら変化球も決め球、カウント球で使えるし、メリハリの利いた投球ができる。現時点では甲子園で投げた投手よりもトータル的な完成度は低いかもしれないが、ポテンシャルは高く、体もまだまだ大きくなる。これからひけをとらない存在になっていくと思う。

▽ロッテ柳沼スカウト 練習試合を含め見るのは今年で4、5回目だが、一番良かった。最大の魅力は球の強さ。高めの直球で空振りが取れる角度や、リリースしてからの速さがある。質が重く見えて、ドーンと来る。球速表示以上の球に見えた。打者に向かっていく躍動感もある。変化球の精度も徐々に上がっている。

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