古豪復活を狙う県内屈指の伝統校「一高」が激闘を制した。旧制中学時代を含め10回目の甲子園出場を狙う盛岡一が第3シード久慈に6-5でサヨナラ勝ち。5番平井太耀内野手(3年)が同点の延長11回にサヨナラ適時打を放ち、11年以来の8強を決めた。

3時間に及ぶ熱戦に終止符を打った。11回1死一塁のチャンス。川又範明監督(48)は「(平井は)勝負強い選手なので、4番に送らせて平井で勝負するしかない」と主軸にバントのサイン。2死二塁で勝利を託された平井は「自分への期待を感じたので、何とか監督の采配に応えたい」と奮い立った。2球目の内角直球に体を高速回転。捉えた打球は右中間で弾んだ。一塁付近で二走の生還を確認すると、腕を突き上げた。

有言実行の一打だった。6回途中から救援し、1失点に抑えた佐々木裕平投手(3年)の力投に応えた。「最後まで気持ちを持って投げていたので、回が始まるところのミーティングで『自分が決めるから回してくれ』とみんなに伝えた」。平井は、勝負強さを発揮した一打について「あれ以上にいい打撃をしたいので80点くらい。仲間に宣言して打てたのは良かった」と語り、喜びをかみしめた。

シード校を倒し、今日19日は一関学院との準々決勝に臨む。「『公立校でNO・1になって私学を倒して甲子園』は、新チームになってからずっと言ってきた。粘り強く勝てたことは収穫だと思うので、この勢いをぶつけたい」。目標は78年以来の聖地だ。「一高」の夏はまだ終わらない。【相沢孔志】