<高校野球神奈川大会:桐光学園5-0相模原中教校>◇20日◇4回戦◇サーティーフォー相模原

部員11人。チーム唯一の3年生となる相模原中教校・藤田啓介主将の目に涙はなかった。強豪シード校を相手に中盤まで1点差の接戦を演じ「ここまでいい試合が出来ると思ってなかったので。達成感と、あとは後輩に来年頑張って欲しいという期待感がありました」とうなずいた。

国公立大にも多数が進学する中高一貫の進学校。毎年部員も少なく、藤田らの世代は入部当初は5人。昨年から続くコロナ禍や勉学への専念もあって仲間は徐々に減り、昨年末から1人だけの最上級生となった。それでも休校期間中などはzoomミーティングで意見交換を図り、約2時間半の短い練習にも集中して取り組んだ。「大変なことはあったかと思うんですけど、後輩達がしっかりしていたので、そんなに負担は感じなかった」と振りかえる。

1回の先頭打者としてチーム初安打もマーク。「相手ピッチャーもいい球を投げていたので、振り切っていこうと思っていったら、いい結果につながりました」と、高校野球生活最後のヒットに満足そうな表情を見せた。

次なるターゲットも決めている。「できれば大学野球もやってみたい。東京大学。文科2類です」と甲子園に劣らぬ高い目標を掲げた。得意科目は数学。文科2類からは経済学部への進級が多く、将来はマーケティングや経営などにも興味あるという。これまでも練習後に自宅で約2時間、他にも学校での隙間時間などを見つけて勉強してきたというが「ほんとに今のままじゃ厳しいので。野球で鍛えた体力を使って、頑張っていきたいです」。1人でチームを支えてきた底力を、受験競争にもいかしていく。【鈴木正章】