聖光学院は13安打7得点でいわき光洋に快勝。5番山浅龍之介捕手(2年)が、8回コールド勝ちを決める適時打を放つなど、3安打1打点で打線を引っ張った。延長13回タイブレークを制した東日本国際大昌平と29日の決勝で対戦する。

聖光学院は8回コールド決着で3年ぶりの東北大会出場を決めた。6-0の8回2死満塁。5番山浅に打席が回った。フルカウントからの6球目。外角直球を捉え、しぶとく中前へとはじき返した。三走の生田目陽内野手(2年)が生還し、優勝した18年秋以来の決勝進出。山浅は「この一戦を大事にしようと話していて、勝つことができてうれしい」と安堵(あんど)の笑みを浮かべた。

力投するエースに応えたかった。先発の佐山未来投手(2年)は3試合連続完投勝ち。この試合も、110球を投げ8回6安打無失点。背番号1の存在感が際立った。山浅は「佐山が我慢強く投げていたので、あいつのためにも決めてやろうと」。女房役として奮い立ち、自らのバットで試合を決めた。4回に中前打、5回は引っ張って右前打で3安打「猛打賞」の大活躍だった。「重心を意識した練習の結果が出た」と胸を張った。

夏の敗戦を経験し、背負うものがある。14大会連続夏の甲子園出場が途絶えた光南との準々決勝。山浅は1-5の9回2死一、二塁で空振り三振に倒れ、最後の打者となった。「悔しさが大きすぎて、最初の方は新チームに溶け込めなかった」と明かす。そんな時に「救いの言葉」をかけてくれたのが、3年生だった。「気持ちが少し楽になりました。3年生をセンバツに連れていきたい。『3年生のためにも』の思いが消えることはない」の言葉からは決意がにじむ。

まだ道半ば。山浅は言う。「東北大会出場を決めて、ようやくスタートラインに立てた」。夏からの巻き返しは、まだまだこれからだ。【佐藤究】