帝京長岡が4-3で村上桜ケ丘に競り勝ち8強入りを決めた。1-1の8回表2死二、三塁から主将の1番水瀬匡亮遊撃手(2年)が中越え2点二塁打を放ち、流れを引き寄せた。準々決勝4試合は3日に行われる。

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いつもは冷静な主将、水瀬がガッツポーズを見せた。8回表2死二、三塁。村上桜ケ丘の佐藤陽真(2年)の外角高めの直球をたたいた打球は中堅越え。貴重な一打に感情を込めて右拳を突き上げた。7回まで1-1。5回以外は毎回安打で塁をにぎわせながら、あと1本が出なかった。「流れを変えたかった」。重苦しい空気を振り払った。水瀬がつけた勢いで帝京長岡は9回表にも追加点。村上桜ケ丘の反撃を振り切った。

主将として意識しているのは「コミュニケーションを取ること」。3番の幌村黛汰(2年)に進んで打撃のアドバイスを受けている。ベンチメンバー20人のうち14人が県外出身者。親元を離れて暮らすチームメートにグラウンド内外で積極的に声をかける。芝草宇宙監督(52)は「主将としてよく引っ張ってくれている」と信頼を置く。帝京長岡の秋8強はベスト4入りした18年以来。芝草監督は当時はコーチ。20年春に監督就任後は春、夏を含めて初のベスト8進出になる。8月下旬、同校で複数の生徒が新型コロナウイルスに感染し、休校になった。その後、新潟県独自の特別警報が発出され、高校の部活は全県的に9月16日まで休止。チームはほぼぶっつけ本番で秋の大会に入った。芝草監督は「どう転ぶかわからない試合で勝てたことはいい経験」と、接戦をものにしたことに手ごたえを感じた。

プロも注目するエース茨木秀俊(2年)ら夏のベンチメンバーが多く残る。水瀬は「重圧はあるが乗り越えていきたい」。目標は来春のセンバツ出場。この日つかんだ感触を次につなげる。【斎藤慎一郎】