村上桜ケ丘は加茂暁星との接戦を2-1で制した。1-1の6回表2死二塁で8番・青山裕生一塁手(3年)が左中間への適時二塁打。貴重な決勝打は公式戦初安打だった。

    ◇    ◇    ◇  

三塁でアウトになっても青山の顔は笑っていた。1-1で迎えた6回2死二塁。値千金の決勝点を、公式戦初安打でたたき出した。2ボール、1ストライクからの外角直球を素直に振り抜き、左中間への適時二塁打。三塁を欲張りチェンジになり、ベンチで松田忍監督(72)に一喝されたが、喜びは止まらなかった。「反省するけど、うれしかった」と言った。

「いい感触はあった。強い気持ちでいけた」。緊張を強いられる場面の長打だったが、前の2打席で手応えがあった。2回に放った中飛と4回の右飛は安打性の当たりを相手外野手の好守に阻まれたもの。「必ず(走者を本塁に)かえしてやろうと思っていた」と前2打席でつかんだ手応えを結果で示した。松田監督も「あの子は急成長。思い切りがいい」と評価した。

初戦の2回戦村上戦で青山は無安打だった。昨秋はベンチ入りメンバーに選ばれたが、左足内転筋の肉離れで出番はこなかった。冬場は下半身強化と体重増量をメインに取り組み、体重は8キロ増の65キロ。「だんだん打球が飛ぶようになった」。この日のチームは2投手が計11四死球を与え、野手の失策も2。攻撃でも2併殺に仕留められていた。が、ナインは落ち込むことはなかった。「前向きな言葉で自分たちのテンションを上げてきた」。そう話した青山が、“ハイテンション”の一打で4回戦進出を決めた。【涌井幹雄】