日本文理が5-2で新潟明訓を破り、昨夏から3季連続の決勝進出を決めた。プロ注目のエース田中晴也(3年)が8安打、10奪三振で2失点完投。自己最速タイの148キロマークする熱投だった。

力を注ぎ込んだ。「最後は気持ちで勝とうと思った。自信のある直球で決めたかった」。9回表2死三塁。田中は新潟明訓の8番岩崎純大捕手(2年)を空振り三振に仕留める。この試合の147球目、10個目の三振を奪った直球の球速は自己最速タイの148キロをマークした。

最終盤になっても球威が落ちないどころか、“最大レベル”の球を投げる。「体力をつけようとやってきたことは間違っていなかった」。冬場に走り込みなどで体力強化。昨秋から4キロアップして、92キロに増量された肉体には無尽蔵のパワーが詰まっている。

もっとも、「反省が多かった」と言うように簡単な試合ではなかった。新潟明訓の巧みな打撃の前に8安打を許す。初回には2安打で先制された。それでも要所は抑えた。3回以降は変化球をまじえて、カウントを整えた。2点目を与えた6回表2死二塁は148キロの直球で見逃し三振を奪って切り抜けた。かわす場面ではかわし、「ここぞ」という時は力勝負した。

打撃でも存在は大きい。3回裏に1-1から勝ち越しの中犠飛、7回裏には右中間への二塁打でダメ押しの5点目をたたき出す。この日はプロ複数球団のスカウトがネット裏に陣取った。その前で投打で逸材ぶりを発揮し、チームを勢いづけた。

鈴木崇監督(48)が「夏の前の新潟明訓戦は一大行事」という宿敵との一戦を制し、日本文理は3季連続で県の決勝に進出。「決勝は投げろと言われれば投げる準備をする。投げなくても一振りで仕留める打撃で貢献したい」。田中は春の王座奪取へ、意欲をあらわにした。【斎藤慎一郎】