第61回春季全道高校野球(23日開幕、札幌円山)の組み合わせ抽選が18日、札幌市内で行われ、7年ぶり5度目出場の北見緑陵は、12年ぶり12度目出場の釧路工との対戦が決まった。20年夏に1年生で北北海道大会8強を経験した主将の武田将汰遊撃手(3年)ら5選手を中心に、地区予選3戦17盗塁の機動力を生かし、08年以来14年ぶり初戦突破を目指す。

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北見緑陵が足でかきまわし、白星をつかむ。釧路工との公立校対決が決まり武田主将は「自分たちがやれることを、1つずつしっかり出して、まずは1勝を目指したい」と意気込んだ。

地区予選は3試合で計17盗塁と走ってチャンスをつくってきた。就任14年目の酒井昭彦監督(55)は「常に次の塁を。うちのように力がないチームは走ってかき回さないと勝てないので」と重点的に走塁への意識を磨いてきた。中でも現チームは、主将の武田や1番打者で酒井監督の長男大海(ひろうみ)中堅手(3年)ら、スタメン9人中7人が50メートル6秒台と俊足選手がそろう。

春は7年ぶり出場も、1年夏の北大会で8強を経験したメンバーが5人残っており、道大会への精神的な気後れはない。2年前、22年ぶりの北大会1勝をベンチで体感した武田は「先輩たちも足を使ってかき乱していた。僕らもそういう野球を見せたい」と思い描いた。練習の合間、必ず全力疾走で移動する伝統の「緑陵ダッシュ」で鍛えた脚力を、道大会でも披露する。

主軸の武田、エース竹下虎汰郎、竹下右恭一塁手の双子の兄弟、猪股慎之助左翼手(いずれも3年)の4人は、北見三輪小6年時に、同じ三輪リトルオニオンズで全道スポーツ少年団軟式交流大会に出場。1勝を挙げ、全道8強に進出した。その後、武田のみ学区の都合で違う中学に進んだが「同じ高校で一緒に強くしよう」と同校に進学。武田は「またみんなと全道で勝って喜べたら」。幼少期から培う結束力もフル稼働し、円山1勝をたぐり寄せる。【永野高輔】