西城陽(京都)が智弁和歌山の猛打に屈した。粘りを見せていた藤川泰斗投手(3年)が6回に集中打を浴びて6失点。またたく間にコールド試合にされた。

エース左腕は「6回はいつもの投球ができなかった。通用しませんでした。甲子園常連のチームは振りも雰囲気も違った。自分たちよりはるか上です」と力負けを認めるしかなかった。

130キロ台後半の直球とスライダー、カーブ、チェンジアップを制球良く操る。「ある程度打たれてもOK。ストライク先行で、アウトを早くとる」とプランを描いていた。5回まで粘って4点に抑えたが、6回に制球がわずかに甘くなったところを、4巡目の上位打線につかまった。

横浜(現DeNA)でプレーした染田賢作監督(39)は脱帽した。「今まで対戦した中で一番強かったです。打球が速いし、投手も安定感がある。格上なのは百も承知で、野球は番狂わせが起こるスポーツだけど、起こせなかった。藤川はよく投げたと思います」。

今大会は主力に故障者が相次ぎ、ベストメンバーが組めなかった。代わりに出た選手が成長したことが収穫だった。「あとは野手が取れるアウトを取りきらないといけない。際どい打球を『惜しかった』と言っていては何にもならない。球際にこだわって練習していきたい。選手は自信を持って臨んでいたが、まだまだ上がいると身に染みたのではないか」と染田監督は実感を込めた。

京都府大会は京都国際、福知山成美、東山と撃破して初めて春季大会を制した。夏の京都は例年以上に実力伯仲と予想される。初出場した94年夏以来の甲子園へ、宿題を残す近畿大会だった。【柏原誠】