青森山田が好機を逃さなかった。3-3で迎えた8回1死満塁、野村祐内野手(2年)が左越え満塁本塁打を放って勝ち越し。八戸学院光星を7-3で下し、東北大会出場(福島・6月7日開幕)を決めた。

2-0で迎えた7回、1死一、二塁で浴びた逆転の3点本塁打が“ゾンビ青森山田”をよみがえらせた。7回裏、野村がフルカウントから3球ファウルで粘って、9球目に死球で出塁。對馬蓮内野手(3年)が犠打でチャンスを広げると、続く川下大翔内野手(2年)への2球目は暴投。野村は三塁まで進塁した。川下が3球目を左翼へはじき返す同点適時打で試合を振り出しに戻した。

8回、しぶとく粘り強くつないだ攻撃は、満塁弾という最高の形で実を結んだ。野村は「自分が決めるんだという強い気持ちで打席に入りました。1本打てたことが本当にうれしい」。張っていた直球を見逃さず、気持ちで振り抜き左翼席に突き刺した。野村は「感触は良かったですが、ホームランになるとは思ってなかったです」と苦笑するも、高校通算2本目、人生初の満塁本塁打に喜びを見せた。

“ゾンビ青森山田”は、青森山田シニア・中條純監督の言葉だ。20年10月の秋季新人東北大会で辛勝を経て東北4連覇を達成した青森山田シニアの粘り強さを表現している。野村をはじめ對馬や川下、先発した木村虎鉄投手(3年)などがシニア出身。兜森崇朗監督は「うちの中学校出身の選手がチームの主力に結構いる」と「ゾンビ野球」の精神が根付いていることを実感した。しつこく諦めず粘り強い「ゾンビ野球」で春を制覇し、東北大会、夏に向けて勢いを増していく。【濱本神威】