97年の日本一捕手に育てられた21年の日本一捕手が今夏、師匠超えを狙う。

昨夏の全国王者・智弁和歌山が日高高中津分校を5回コールドで下し、5大会連続4強入りした。昨夏も正捕手だった渡部海(かい、3年)はマスクをかぶっては3投手を1失点でリード、3番打者としても通算36号3ランを含む3安打4打点、3得点と活躍した。

「昨年は守りが堅くて、投手陣もよくて優勝できた。僕たちも守り勝つ野球を目指してやっているんですが、まだまだ足りないところだらけ。もっとレベルアップしていかないといけない」

扇の要は落ち着いている。「今日も15-0で勝たなければいけなかった。どの投手が投げてもゼロで抑えるのが目標なので」。エース塩路柊季(しゅうき、3年)は4回無安打無失点でも、救援2投手が投げた5回に1点を失った。渡部にとっては完勝ではなかった。

日本一の投手陣に鍛えられた。97年夏の甲子園を制した中谷仁監督(43)は「上級生の投手は頑固でわがままなやつばっかり。難しかったんですよ。そこで1つの結果が出た。昨夏が彼のターニングポイント。成長する夏になった。基礎的な部分では高校生ではトップクラスだと思います」と全幅の信頼を置く。2年連続日本一捕手になれば、師匠が何より喜ぶ“中谷超え”。挑戦権確保まで、あと2勝だ。【堀まどか】

▽智弁和歌山・山口(今大会2本目の高校15号が満塁弾)「満塁アーチは高校で3本くらい打っています。打撃で監督に使っていただいていると思うので、1番打者として1打席目に一番こだわってやっていきたいです」