「背番号1」の主砲が野手として躍動した。東海大相模(神奈川)が、3年ぶり(20年独自大会のぞく)の決勝進出を決めた。特大弾を含む3打数3安打と大暴れの求航太郎外野手(3年)は「いい流れに持っていけた」と喜んだ。

監督の一声が1発につながった。1点差に迫られた6回無死。求は3球目のチェンジアップを空振りした。ベンチの原俊介監督(44)が力強いまなざしで伝えてきた。「ゾーンを上げろ」。修正し、迎えた4球目。真ん中高めの直球を振り抜くと、打球は左中間スタンド上段に突き刺さった。貴重な追加点に「あんなに飛ぶとは思わなかったです」と自ら驚いた。公式戦は昨秋県4回戦の星槎国際湘南戦以来316日ぶりの本塁打。原監督も「非常にいい場面で打ってくれた。勇気づけられました」とたたえた。

鹿児島・奄美大島出身。島から応援に駆けつけた父・建臣さん(54)も特大弾に大興奮だった。「打った瞬間『いってくれ』って目をつぶっちゃった。打球見られなかった」と笑った。試合後はバスに乗り込む息子に対し、人さし指で「1」のポーズを作り、「あと1勝だぞ」とエールを送った。

決勝は横浜と対戦。求は父と同じく「あと1勝」と力を込めた。21年センバツの歓喜を、夏にも。今大会は状態が上がらず登板はないが、バットで宿敵を倒す。【阿部泰斉】

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