香川大会は、高松商が浅野翔吾外野手(3年)の3ランなどで快勝し、3大会連続22回目の甲子園出場を決めた。PL学園(大阪)・清原和博に並ぶ高校通算64本塁打など3安打2四球の大活躍。阪神はドラフト上位候補に位置づけ、球団幹部が視察した。

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完璧な「打ち直し」だった。2点リードの4回1死一、二塁。浅野は2球目の直球を強振した。左翼へ伸びる打球は惜しくもポール際に切れた。だが集中力を切らさなかった。カウント2-2からの6球目、真ん中高めの直球を左中間芝生席に運ぶ3ラン。「もう一発同じのを狙うと良い結果は出ない。しっかりたたいてライナーを狙った」。PL学園・清原に並ぶ高校64号本塁打でリードを5点に拡大。3大会連続22回目の夏の夏切符を引き寄せた。

両打ちの主砲は全て右で5打席立ち、3打数3安打2四球。「(本塁打を)狙わずチームのためにやっていたら結果は出ると思う」。相手の英明には昨秋も今春も県大会で敗れていた。1番中堅の主将は全打席出塁でリベンジ勝利を導き、優勝の瞬間はマウンドに集まって喜びを爆発させた。

この日は5球団の熱視線を浴びた。阪神は今秋ドラフトの上位候補に位置づけ、嶌村球団本部長も視察に訪れた。阪神渡辺スカウトは「勝負どころでの勝負強さは素晴らしい」と高評価。西武は渡辺GMがチェックするなど他球団も有力候補に挙げており、今秋ドラフトの目玉になりそうな勢いだ。阪神は甲子園でも一挙手一投足をマークする。

昨年12月にマリナーズの会長付特別補佐兼インストラクターを務めるイチロー氏(48)から熱血指導を受けた。浅野は、その教えの中で「全力の中で形を作る」という言葉を大切にしているという。「疲れたら手を抜いたりしていたけど、『しっかり振る』ことを意識するようになった」。レジェンドの金言をアーチ量産の力に変えている。

いよいよ甲子園で暴れる時がきた。「今大会NO・1と言ってもらえるような存在感のあるバッターになりたい」。戦いたい相手に、春夏9度の全国制覇を誇る大阪桐蔭を挙げた。チームの目標は、昨夏の16強を超える8強入り。香川屈指のスラッガーが、牙を研ぐ。【波部俊之介】

ロッテ榎スカウト部部長(浅野について)「追い込まれても自分のスイングができる。チームのためにプレーするキャプテンシーがあるところも評価できる。打ち方的には井口監督に似ている。引きつけて打てて、選球眼も良い」

◆浅野翔吾(あさの・しょうご)2004年(平16)11月24日、香川県生まれ。小学3年時に野球を始め、屋島中では捕手。中3時にU15日本代表に選出され、アジア選手権優勝。高松商では1年夏の代替大会からベンチ入り。将来の夢はプロ野球選手で、目標の選手はアストロズの主砲アルテューベ。高校通算64本塁打。170センチ、86キロ。右投げ両打ち。