夏の甲子園優勝の仙台育英(宮城)は、春のセンバツ優勝で夏8強の大阪桐蔭に1-3で惜敗した。背番号「3」をつけた岩崎生弥内野手(3年)がチーム初安打を放ち、かつてのチームメートに成長した姿を披露した。

夏の甲子園で躍動した岩崎が全国屈指の名門から「Hランプ」を点灯した。1点を追う2回1死。プロ志望届を提出した川原嗣貴(しき)投手(3年)との対戦に気を引き締めた。「自分は初球から振っていく意識が強い。1打席でも捉えようという意識で打席に立った」。188センチの長身から繰り出される1球に集中し、4球目を右前打。球場に反撃ムードを漂わせた。

試合は2点差で競り負けたが、ライバルに全力プレーをアピールした。星子天真主将と海老根優大外野手(いずれも3年)とは中学1年時に「カル・リプケン12歳以下世界少年野球大会」に出場。その後、別々のチームに進学し甲子園で実現しなかった一戦を終え、星子に思いを伝えた。

岩崎 自分たちは負けた側なので、ライバルが勝ってくれたという思いと優勝してほしい思いがありました。「優勝してくれ」と言いながら握手をしました。

東北勢初優勝を果たした夏の甲子園は宮城大会メンバー外からはい上がり、背番号「14」でベンチ入り。下関国際(山口)との決勝では、満塁本塁打を放った。須江航監督(39)は「一夏通じて素晴らしい活躍だったので、夏のお疲れさまとありがとうを含めて3番がふさわしいかな」と国体では1桁の背番号「3」を託した。最後の舞台で初戦を突破できず引退となったが、岩崎に悔いはない。

岩崎 つらいことも楽しいこともたくさんありましたけど、全部出し切れたかなと自分は思います。

満面の笑みを浮かべ、会見場を後にした。【相沢孔志】