大阪桐蔭が鮮やかなリベンジを果たした。

先発は8月の対戦時に決勝打を浴びて涙を流した前田悠伍投手(2年)が志願先発した。毎回走者を出したが4回無失点。140キロ台後半の速球に緩急をまじえて要所を締めた。8日に秋季大阪大会準々決勝を控えるなか、異例の先発マウンドだったが、71球に魂を込めた。前田は振り返った。

「リベンジのつもりだったので気持ちは作りやすかった。昨日の夜『投げさせてください』と言った」

打線も着実に加点した。1回、今秋ドラフト1位候補の松尾汐恩捕手(3年)の遊ゴロの間に先制。海老根優大外野手(3年)の左翼線タイムリー二塁打で加点した。4回は1死一、三塁の好機を築くと、西谷浩一監督(53)が動いた。先発前田に代打工藤翔斗捕手(3年)を起用。初球打ちの中前適時打で応え、リードを3点に広げた。

前田から継投の別所孝亮投手(3年)も145キロ速球を中心に丁寧な投球をみせた。8回は2死後、1点を失ったが粘り抜いた。西谷監督は「特別、リベンジという気持ちはなかった。どんな相手でもしっかり勝ちに行く。しっかりやってくれた」と振り返った。

両校は8月18日の夏の甲子園準々決勝で対戦していた。大阪桐蔭が1回に2点先制。下関国際に追いつかれながら6回に1点勝ち越した。流れが変わったのは7回だ。無死一、二塁で打者は大前。2ボールからの3球目、西谷監督は送りバントではなくバントエンドランを選択した。だが、投手仲井への飛球アウト。飛び出していた走者は戻れずアウトになり、痛恨の三重殺を食らった。1点リードの9回は場内が下関国際を後押しする手拍子。異様なムードのなか、前田が踏ん張れず、3安打を浴びて逆転され、敗れ去った。優勝候補筆頭だっただけに大波乱の幕引きになっていた。

前田は9月末にも「下関国際に負けて、いままでで一番悔しい思いをした。3年生と野球できないと思ったが国体で最後、一緒にできる。何とか国体で優勝したい」と意気込んでいた。有言実行の力投で、決勝の大舞台を引き寄せた。

大阪桐蔭は前日2日、夏の甲子園優勝校の仙台育英(宮城)に勝利。今秋ドラフト候補で先発の川原嗣貴投手(3年)が9回1失点完投。同候補の松尾汐恩捕手(3年)も2安打1盗塁で、相手走者の盗塁を刺すなど、走攻守で躍動した。松尾は「この大会にかけている。一番強いのは大阪桐蔭だと世間に伝えないといけない」と気合。5日に聖光学院(福島)と決勝に臨む。昨秋の明治神宮大会、センバツに続く「3冠」を狙いに行く。

▽大阪桐蔭・星子主将(下関国際にリベンジ) 秋春夏連覇を目指してやってきて負けた相手。次は負けないぞという気持ち。勝ち切れて本当によかった。

▽大阪桐蔭・星子主将(下関国際にリベンジ) 秋春夏連覇を目指してやってきて負けた相手。次は負けないぞという気持ち。勝ち切れて本当によかった。