昨秋準優勝の聖光学院(福島1位)が、延長11回の末、由利(秋田2位)に3-2でサヨナラ勝ちし、2年連続で4強入りした。2番緑川竣風(しゅんた)内野手(2年)がサヨナラスクイズを決めた。能代松陽(秋田1位)は学法石川(福島2位)との死闘を制し、17年以来の4強入り。5-5で迎えた延長12回、7番森岡大智投手(2年)がサヨナラ打を放ち、接戦に終止符を打った。東北(宮城1位)、仙台育英(宮城2位)も4強入り。勝てばセンバツ出場がほぼ当確となる決勝進出をかけ今日14日、準決勝が行われる。

   ◇   ◇   ◇

聖光学院・緑川が一瞬で仕留め、激闘に終止符を打った。2-2の延長11回1死満塁。「最後は味方がつないでくれたチャンスだったので、どんな形であろうと自分もつなぐ気持ちで」と打席に入った。1ボールから外角に外されたが「絶対に食らいつく一心だった」と体を投げ出すようにバットに当て、三塁へ転がすサヨナラスクイズ(記録は内野安打)。右手でガッツポーズしながら笑顔で一塁を駆け抜けた。

三度目の正直だった。聖光学院は2度の得点機でスクイズを選択せず、強攻策で無得点。5回1死二、三塁では星名竜真投手(2年)が空振り三振、延長10回1死満塁では片山孝内野手(2年)が一邪飛に倒れた。斎藤智也監督(59)は「スクイズをやって点数が入らなければ悔いが残らない。打たせて点数が入らなければ悔いが残る」。最後の勝負どころとみて、緑川にスクイズのサイン。執念の采配が実った。

同点劇も緑川が起点だ。0-2の8回2死走者なし。併殺直後に緑川が左前打で出塁し、悪い流れを断ちきる。続く三好元気外野手(2年)は右翼線へ安打を放ち、走塁妨害も重なり、2死二、三塁とチャンスを拡大。そして、4番杉山由朗捕手(2年)の2点適時打で同点に追いついた。

緑川の帽子には「一瞬に生きる」と記してある。その言葉は、尊敬する小久保裕紀氏(51=現ソフトバンク2軍監督)の著書のタイトルで、同氏の自叙伝から大きな影響を受けたという。「小久保さんの考え方や聖光学院でも一瞬を大切に生きているのを重ねて、その一瞬一瞬を過去とか未来にしばられず、今この一瞬を大切にやるという思いを込めて書きました」。準決勝の東北戦でも一瞬のプレーにこだわり、2年連続のセンバツ出場をたぐり寄せる。【山田愛斗】

<関優来投手「強い格上だな」>

由利(秋田2位)は準決勝進出にあと1歩届かなかったが、来春センバツの21世紀枠東北地区候補校への選出は有力となった。関優来(ゆら)投手(2年)は5回1死まで無安打投球で、10回1/3を3失点と踏ん張った。しかし、最後の最後にサヨナラスクイズを浴びた。「(聖光学院とは)1年生の頃に1回戦い、11-0でボロ負けして絶対勝つという気持ちで戦ったが、強いな、格上だなと思った」と話した。