第4シードの浜松開誠館が第5シードの藤枝明誠を逆転サヨナラで下し、選手権初(20年独自大会は準V)の決勝進出を決めた。6-6の9回。新妻恭介捕手(3年)が投手強襲の右前適時打を放ち、試合を決めた。ノーシードの東海大静岡翔洋は昨夏王者で第2シードの日大三島を5-3で破り、2年ぶりの頂上決戦に進んだ。浜松開誠館の初か、それとも東海大静岡翔洋の19年ぶりか-。甲子園を懸けた決勝は、29日に草薙球場で行われる。

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東海大静岡翔洋が、また1つ大きな壁を越えた。今春センバツ出場の常葉大菊川を破った準々決勝に続き、連覇を狙った日大三島を撃破。米倉輝主将(3年)は「1点1点が勝負と、とにかく粘り強くプレーした結果」と胸を張った。2試合連続の“大物食い”で、04年以来の聖地に王手をかけたナイン。泥まみれの顔に、白い歯が映えた。

しぶとく勝機をつないだ。18安打で5得点。14残塁と決定力を欠いた。それでも2-3の5回1死二、三塁、代打・岸川和広内野手(2年)が右前に同点打。続く赤尾翼内野手(3年)が右犠飛を放ち、勝ち越した。赤尾は「ここぞで1本が出ず苦しかった。ただ、チャンスを作り続けたことで流れが相手にいききらなかったと思う」。言葉通り、3者凡退は2回の1度だけ。完全には主導権を渡さず、最後は5回から登板した松永郁己投手(3年)がリードを守った。

21年の決勝は静岡に0-4で敗れた。あと1歩届かなかった「あの日」から2年。再び、決勝の舞台にたどり着いた。森下倫明監督(58)は「このチームを結成した時から、甲子園で1勝することを目標にやってきた。通過点にしたい」。夢舞台まであと1つ。勝って、目標への挑戦権をつかむ。【前田和哉】

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