<高校野球東東京大会:共栄学園12-6東亜学園>◇30日◇神宮球場

高校野球のドラマは、勝った者にだけ生まれているわけではない。日刊スポーツでは今夏、随時連載「君がらんまん」で、勝者だけでなく敗者にもスポットを当てた物語をお届けする。

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東亜学園(東東京)のガラスのエース三浦寛明投手(3年)は、ケガと向き合いながらも神宮のマウンドに堂々と立った。決勝で先発し4回2/3を4失点(自責3)。甲子園まであと一歩及ばなかった。それでも「決勝の舞台で投げられたことは良い経験になった」とゆっくり話した。

1年夏に左太ももの肉離れと左太もも裏大腿(だいたい)骨を疲労骨折。2年春には腰椎分離症を発症。今夏は大会直前に右肘痛で2週間のノースロー調整もなんとか間に合わせた。初めて背番号1をもらった。「投手であれば誰もが目指す番号」と周りからの期待に応えたかった。

思い通りにいかない時間は長く「いつ投げられるのか」という不安もあった。それでも「絶対におまえの力が必要になるから戻ってこい」と待ってくれていた仲間のおかげで踏ん張れた。ケガが続いても「野球をやめたい」と思ったことは一度もなかった。小1で野球を始め、プロ野球選手を全員暗記するくらい見ることも好きだった。ゲームやカードでも必ず野球ものを選んでいた。野球を心から好きな少年が、そのまま高校球児になり最後の夏に腕を振った。【佐瀬百合子】

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