今年の甲子園大会は、好打者が多い印象だ。代表格は花巻東(岩手)の佐々木麟太郎内野手(3年)。地方大会を含め、映像でバッティングを確かめた中、左翼スタンドにも運んでいた。広角へ、それも長打を打てるのは、非常に有望と言える。

それを可能にしているのはリストの柔らかさだろう。スイングスピードを備え、それでいて引っ張るだけでなく、コースによって左方向へ打ち分けている。リストの順応性は持って生まれた非凡な才能だ。

スイングも力強い。強打者の必須条件は強く振れること。清宮のようにそれほどの力感はなくとも飛距離を出せるバッターは珍しい。佐々木麟のように、体に秘めたパワーをスイングに乗せて振れることは、相手バッテリーに相当な圧力となる。

クラーク戦では、新岡投手の制球された内角球を空振りしていた。その前に外角へ逃げるチェンジアップで目先を変えられており、いかに佐々木麟といえども、あの精度で攻められては、ヒットゾーンに運ぶのは難しいだろう。

ただし、高校通算140本の実績は大きい。この大会での結果で評価が変わるレベルではない。

内角打ちは強打者の宿命と言えるが、内角球の克服はこの先の野球人生で向き合うべき課題となる。しかし、今はすべてに完璧を求めるよりも、あのサイズでしっかり振れる、そして広角に打てる、この特長をしっかり保ち、体の強さを高めてほしい。

守備では一塁手として、常に声を出し、投手に声がけを忘れない。決して俊敏とは言えないが、常に打球に対して正面に入り、体に当てて止めようという闘争心は、これからも忘れないでもらいたい。

当然、ドラフトでも指名される候補に入ってくる。プロを念頭に置いた時、守備位置が一塁だけでは苦しい。主に外国人選手と競うからだ。体重を落とすというのではなく、さらに動いて下半身を鍛え、三塁手としての可能性を見いだせるよう、トレーニングを怠らないことも大切だ。

今大会は好打者が目につく。右打者では、履正社・森田大翔内野手(3年)、浜松開誠館の新妻恭介捕手(3年)、左打者では、神村学園・今岡歩夢内野手(3年)、正林輝大外野手(2年)、日大三・佐々木純太郎外野手(3年)、英明・寿賀弘都外野手(3年)が、将来性豊かな打者として印象に残った。(日刊スポーツ評論家)