<全国高校野球選手権:神村学園11-1市和歌山>◇14日◇2回戦◇甲子園

チームの先頭に立って奮闘した市和歌山・熊本和真主将(3年)の夏が終わった。

和歌山大会決勝でサヨナラ打を放った。冬場は一日中、走り込み中心の厳しいメニューに打ち込んできた。下半身と精神面を鍛えたかった。走り込みを続けるあまり、左太ももに肉離れを起こして「足がやばい。歩かれへんから、迎えにきてよ」と家族に助けを求めたこともあった。

少年時代の憧れがあった。小・中の先輩が市和歌山の選手で甲子園に出場。現地で観戦し、憧れを抱いた熊本が“市高戦士”として約60人の部員を束ね、高校最後の夏に先頭に立った。「お客さんの量の多さや、1球への反応やどよめきがすごかったです」。夏の甲子園への思いが募った。和歌山大会決勝のサヨナラ打は、思いの表れだった。

熊本はこの日の9回、最後の打者になった。「ここでアウトでもセーフでも楽しむことが一番大事」と笑顔で打席に立ったが、結果は左飛。打撃用の手袋のまま、相手校の校歌が流れる中、号泣。その姿を見つめた半田真一監督(43)に「よく成長したな」とねぎらわれた。熊本の泣き顔が笑顔に変わった。【中島麗】