花巻東が久慈に勝利し、2年ぶりの東北大会出場を決めた。先発の金野快投手(2年)が、4安打10奪三振で公式戦2度目の完封勝利を飾った。

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この日一番の雄たけびが響き渡った。1点リードの4回。単打と味方の失策で1死三塁のピンチを招くも金野に動揺はなかった。今春習得し、とくに磨きをかけてきたフォークを織り交ぜ2者連続三振。アストロズ菊池、ドジャース大谷らを育てた佐々木洋監督(49)は「メジャーでは勝利数以上に奪三振が評価される。『三振取れるピッチャーが大事だよ』と言ってきた中で、大事な場面で三振を取ってくれて成長を感じました」とたたえた。

1学年上の代から登板機会に恵まれ、今夏甲子園でもベンチ入り。だが経験豊富な右腕の前に壁が立ちはだかったのは新チーム始動後だった。「『3年生が投げてくれれば勝てるだろう』と頼りすぎていた…」。そう感じたのは岩手大会前の関東遠征。頼りきりだった3年生がいない不安から、思うような投球ができなかった。

暗闇に明かりをともしたのは指揮官の言葉だった。「試合の結果もそうだけど、人間性を磨かなければ本当のエースにはなれない」。それからは私生活から見直し、苦手としていた整理整頓を特に意識。さらに、投球フォームを改善すべく、シャドーピッチングも取り入れた。

地道な積み重ねで得た自信を味方に、背番号10を背負い今大会を迎えた。「今は自分が引っ張っていくという気持ちです」。ほんの数週間前に感じていた不安はどこにもない。誰もが認める「真のエース」になるため、決して歩みを止めない。【木村有優】