<高校野球大阪大会:明星1-0泉陽>◇15日◇1回戦

 プロ野球監督最多1773勝を誇る故鶴岡一人氏(享年83)の孫、明星・鶴岡宏樹外野手(2年)が夏の初戦を突破した。泉陽戦で4回表2死二、三塁。抜ければ逆転という右中間の飛球をもぎ取った。1点先取した直後のビッグプレーで、勝利に貢献した。

 一人氏に4人いる男孫のうちの1人。スタンドで見守った母純子さん(46)は「義父は『孫では一番ワシに似てるな』と言っておりました」と言う。「頭が良くないと野球はできない」という一人氏の“家訓”で、文武両道。野球に打ち込みながら早大、慶大の指定校推薦を狙っている。

 5歳の時に他界した祖父との思い出はないが、「偉大な祖父の名に恥じないよう、全力プレーだけは欠かしたくない」。夏は全国制覇1度を含む8度、春は4度、甲子園に出場した明星は進学校となって、72年夏を最後に夢舞台から遠ざかる。この日も午前に授業を2時間受けて、球場入りした。「まずは組み合わせ再抽選(3回戦突破)まで進みたいです」。先輩とともに名門復活へ。「グラウンドに銭が落ちている」と明言を残した名将の孫は今、グラウンドで夢を追う。【加藤裕一】

 ◆鶴岡一人(つるおか・かずと)1916年(大5)7月27日、広島県呉市出身。広島商で31年センバツ優勝。法大から39年に南海に入団。三塁手。応召後の46年に監督兼任で復帰。以後23年間、南海の監督を務めた。この間、リーグ優勝11回、日本一が2回。監督通算1773勝1140敗81分け、勝率6割9厘は史上1位。現役選手時代の通算成績は実働8年で、754試合で打率2割9分5厘、61本塁打、467打点、143盗塁。00年3月7日、心不全のため死去。