<高校野球神奈川大会:横浜12-2日大高>◇23日◇5回戦◇保土ケ谷・神奈川新聞スタジアム

 横浜の1年生コンビが大暴れだ。8回、1番・浅間大基外野手が右翼への3ランホームランを放つと、4番・高浜祐仁内野手も負けじと2ランを左翼スタンドにたたき込んだ。渡辺元智監督(67)も「記憶にない」という、1年生アベック弾。お互いをライバルとして認め、切磋琢磨(せっさたくま)する2人の怪物の活躍はとどまることを知らない。

 球場が沸く中で、1人だけ心穏やかでない男がいた。8回1死二、三塁のチャンス。1年生ながら不動の1番に座る浅間が、右翼席へ大会2本目となる3ランを放った。「(4回に)走者三塁の好機をつぶしていたので、取り返そうという気持ちでした」。一塁ベースを回ったところで右腕でガッツポーズ。スタンドは大いに盛り上がった。

 その時、高浜の心に火がついた。ともに1年でレギュラーをつかんだ2人は、互いの力を認め合う仲間だが、高浜は長打へのこだわりが強い。「一番自分に合っていますから」。同級生にお株を奪われては黙っていられない。「自分も打ってやると思っていた。本塁打を狙いました」。

 2死一塁で打席が回ると、初球からフルスイング。三塁側へのファウルになったが、打球の速さにスタンドがどよめくほどだった。続く2球目。狙い球のスライダーを捉えると打球は左翼席へ届いた。高浜もまた右腕を高く突き上げた。

 順風満帆に見える1年生主砲も、これまでと異なる環境に戸惑いもある。厳しい練習で体重は入学前の88キロから81キロまで落ちた。今は連戦の疲れから、初めて腰の痛みにも悩まされており、毎日30分湯船につかることでケアしている。ライバルでもある同級生の1発が、そんな疲れも吹き飛ばしてくれた。

 渡辺監督も「(ライバル意識は)あるでしょうね。高浜は疲れで振りが鈍かったけど、浅間が打って、よしという気持ちになったんだろうね」と、相乗効果を喜んだ。選手層の厚いチームだが、このコンビについては「学年を問わない雰囲気がある。打てなくても外すことはない」というほど期待を寄せている。

 浅間は「うれしいですが、出塁が役目なのに本塁打以外に出塁できず反省です」と課題を口にした。高浜は「浅間に負けないよう、また打ちたい」。1年生コンビが、甲子園の常連校にさらなるパワーを与えている。【柏山自夢】

 ◆浅間大基(あさま・だいき)1996年(平8)6月21日、東京都新宿区生まれ。家族が巨人ファンで、小1で野球を始める。東京・牛込第一中では「新宿シニア」で投手兼外野手。3年次に全国大会ベスト8入りを果たした。練習を見学して、横浜入学を希望した。右投げ左打ち。家族は両親と姉2人。好きな食べ物は焼き肉、ギョーザ。182センチ、69キロ。

 ◆高浜祐仁(たかはま・ゆうと)1996年(平8)8月8日、佐賀市生まれ。小2で野球を始める。福岡・金田中では「飯塚ライジングスターボーイズ」に所属、中学通算本塁打は30本。兄卓也(ロッテ内野手)の高校時代の活躍を見て横浜に入学した。入学後、遊撃から三塁にコンバート。右投げ右打ち。家族は両親と姉、兄。好きな歌手は湘南乃風。181センチ、81キロ。