熱烈ラブコール!

 将来のエースは君だ!

 阪神和田豊監督(50)が4日、ドラフト1位指名が決定している大阪桐蔭・藤浪晋太郎投手(3年)を大絶賛した。球団はこの日、12球団のトップを切って藤浪と面談。1位指名する旨を伝えた。他球団と競合必至の大型右腕。ドラフト会議が行われる25日、指揮官は自然体で運命のくじ引きに臨む。

 阪神は一番乗りで藤浪との面談に望んだ。早々に球団内の意見を統一して1位指名を公表。面談が解禁となるや、迅速に駆けつけた。地元校出身のスター候補生に対して、文字通り、球団を挙げての“誠意”を示してきた。

 それを受けて、和田監督は初めて藤浪について言及した。この日、甲子園での全体練習を終えた後、球団が1位指名を伝えたことを聞くと、こう話した。

 「春夏連覇をしているわけだからね。それだけじゃなく、最近にはないスケールの大きさがある。どこの球団にいっても、将来的にエースになれる」

 最大級の賛辞だった。甲子園という大舞台で春夏連覇の実績はもちろんだが、結果以上にスケールを感じていた。さらに、まだプロに入っていない投手に対して12球団どこに行っても、将来のエースになれるというのだ。厳しいプロの世界で、多くの名投手と対戦してきた指揮官は、藤浪が数年に1人の逸材だと確信している口ぶりだった。

 藤浪を称賛する意味で「どこの球団でも」と言ったが、本音は是が非でも獲得したい投手だ。意見調整が終わり、1位指名のあいさつも済ませた今、残るは交渉権を獲得できるかどうか。すでに球団内では、競合した場合は和田監督がくじを引くことを決定している。球団の未来を指揮官に託す。これについて、和田監督は苦笑いを浮かべて、うなずくと、こう言った。

 「うん。ただ、準備のしようがないだろう。準備のしようがないよ」

 野球においては、綿密な準備を大切にする和田監督も、くじ引きだけは運を天に任せるしかない。過去に数々のドラマを生んできた抽選は、だれにも結末は読めない。ドラフト会議は25日。運命の日は刻一刻と迫ってくる。自然体で臨む和田監督と阪神に、女神はほほ笑むのか。【鈴木忠平】