<全国高校野球選手権:鳴門17-1常葉学園菊川>◇17日◇3回戦

 常葉学園菊川(静岡)の夏は、3回戦で悔しすぎる結末を迎えた。1回に2失策が絡んで3失点すると、鳴門(徳島)のうずしお打線に5投手が21安打と打ち込まれ、まさかの大敗。前回出場した08年の決勝(0-17大阪桐蔭)と同じ失点を喫してしまった。フルスイング打線も相手エース板東湧梧投手(3年)の変化球に手を焼き4安打と沈黙。初回に乱れたリズムは、最後まで戻らなかった。

 試合後の控室には、常葉菊川ナインのすすり泣きが響いた。遠藤康平内野手(3年)は、タオルで顔を覆い言葉が出ない。1回1死で遊ゴロをはじく失策。続けて、榊原隆登内野手(3年)が一ゴロを二塁へ悪送球しピンチを迎えた。そこから甲子園初登板となった先発の渡辺竜正投手(3年)が3連打を浴び3失点。遠藤は「みんなに助けられてきたのに、最後に迷惑をかけてしまった」と言葉を絞り出す。榊原も「(ボールに指が)引っかかってしまった…」とうつむいた。

 2人を筆頭に堅守からリズムを作ってフルスイングにつなげるチームだった。だが、序盤で乱れた歯車はなかなか戻らない。打線は5回まで無安打に抑えられ、7回に1点を返すのがやっと。対する鳴門には4、8回に打者一巡の猛攻を食らった。3試合連続2ケタ安打のうずしお打線にのみこまれた。主将の松木大輔捕手(3年)は「自分たちの野球が出せなくて悔しい」と無力感に包まれた。

 一方で松木は「秋に地区予選で負けたチームが、春夏続けて甲子園に出られるなんて」とも語った。1年前の今ごろを考えれば、大きく成長したチームだった。当初は練習を外されるメンバーも出るほどバラバラ。それでも、必ず誰かがフォローし、チームワークを養っていった。この春は、センバツでベンチ外だった3年生が奮起。公式戦13連勝で帰ってきた聖地でも、県勢の連続初戦敗退を止めた。かつてとは違う一丸野球で、ピンストライプのユニホームを全国に印象づけた。

 大西優輝内野手(3年)は「一生付き合っていきたい仲間。菊川に来て本当に良かった」と、誇らしげに語った。とはいえ、12校が出場する東京国体もまだ可能性は消えていない。卒業まであと約半年。常葉菊川を復活させた3年生が共有する時間は、まだ十分にある。【石原正二郎】