<高校野球南北海道大会:札幌第一3-1札幌清田>◇7日◇札幌地区Eブロック代表決定戦◇札幌麻生

 札幌第一が石橋健吾投手(3年)の投打にわたる活躍で、札幌清田を下し、2年ぶりの南北海道大会出場を決めた。両校の鉄腕2人が延長15回引き分けとなった前日6日に続いて、2日連続で完投。石橋は打でも公式戦初となる先制アーチを放ち、投げては毎回の15奪三振で、今大会34回1/3で計59三振を奪った。これで、南大会に出場する15代表すべてが出そろい、10日に抽選会が行われる。

 どこに、完投するスタミナが残っていたのか。終盤は、1球投げるごとに、大きく肩で息をした。延長15回を投げ抜いた前日に続き、マウンドに立った石橋は「終盤は思うように体が動かなくて、気力で投げました」。ストライクを取るたび絶叫し、くじけそうになる自らを鼓舞した。8回を3者連続三振に切ると、9回1死二塁からは2者連続の空振り三振。「勝ってホッとしました」という声は、カラカラにかれていた。

 札幌清田のエース中島啓汰投手(3年)との意地の張り合いは、2日間に及んだ。前日は夜8時に就寝。疲れ切っていた。直球に、勢いがない。スライダーの切れもいまひとつ。2回、「振ったら当たっちゃいました」という左中間2ランで先制点をたたき出し「気持ちが乗った」。スライダーを決め球に毎回の15三振を奪い、9回1失点で完投。「三振を奪うと気持ちがたかぶる」という左腕は、札幌地区予選の4試合、計34回1/3で59奪三振と“ドクターK”ぶりを発揮した。

 「絶対、負けない投手になれ」。練習用ユニホームの背中に書かれた文字を、心に刻む。昨年の3年生からもらったものだ。昨夏の地区予選。3-0から9回に試合をひっくり返され、敗れた。「主戦として期待していたが、精神的にもろかった」と菊池雄人監督(42)。走者が出ると、粘れない。突然の大量失点。だが、この夏は違う。「去年の悔しさを晴らすために、強い気持ちで臨んでいる」。覚悟が、2日で24回完投につながった。

 チームでただ1人、甲子園を知る。1年生だった12年夏、背番号18でベンチ入りした。持ち帰った甲子園の土を瓶に詰め、自宅のテレビの上に飾っている。「もう1度行きたい」という夢舞台へ。戦いは、終わらない。【中島宙恵】