<高校野球福島大会:聖光学院2-0小高工>◇22日◇4回戦◇いわきグリーンスタジアム

 聖光学院の右横手投げエース船迫(ふなばさま)大雅(3年)が、11安打を浴びながら完封勝ちした。小高工の「完全男」菅野秀哉(3年)に投げ勝ち、8連覇を狙うチームをベスト8に導いた。

 打たれても打たれても、ホームを踏ませなかった。7、8回以外は毎回安打を許した。聖光学院の船迫は「走者がいない時よりスイッチを入れた。気持ちを前面に出して投げた」。自己最速を1キロ更新する134キロの速球にスライダーとシンカーをコーナーに投げ分け、珍しい被安打11の完封勝ちを収めた。

 「完全男」の菅野に投げ勝った。「体も大きくないし(身長172センチ)気持ちで勝負した」と自分の投球に徹した。打線が初回に1点を先制し、4回に追加点。「野手が点を取ってくれた。みんなのために頑張りました」と胸を張る。斎藤智也監督(51)も「徹底的にコーナーを突く意識があった」と褒めた。

 練習や試合前のブルペンでの投球は「実戦に近い感覚」(船迫)を植え付ける。プレートを1度外したり、間合いを取るなど走者を置いた場面を想定。だからこそ、5度得点圏に走者を背負っても動じなかった。

 他球場に比べ、いわきグリーンスタジアムのマウンドは硬めという。そのため、部員らが5個あるマウンドの2つを硬めに作ってエースをサポート。船迫は「軸がぶれない」とフィットした。無四球と制球も安定し、完封の支えになった。

 8年連続の8強入り。チームは05~12年の智弁和歌山に並ぶ戦後最長の県8連覇に挑む。2、3回戦とコールド勝ちし、接戦を経験できたのは大きい。「いろいろな人たちにお世話になって、その人たちの思いを背負っている。負けられない」。周囲への感謝も忘れない船迫の好投で、聖光学院は快挙へ1歩前進した。【久野朗】

 ◆船迫大雅(ふなばさま・ひろまさ)1996年(平8)10月16日、宮城県蔵王町生まれ。永野小3年の時、永野ホークスで野球を始め投手と三塁手。円田中の軟式野球部では外野も守る。聖光学院では2年秋からベンチ入り。春から背番号1。172センチ、62キロ。右投げ左打ち。家族は両親と姉2人。