<高校野球栃木大会:佐野日大7-0白鴎大足利>◇26日◇準決勝◇宇都宮清原

 センバツ4強左腕が2季連続の甲子園に王手をかけた。栃木大会で、ドラフト上位候補の佐野日大・田嶋大樹投手(3年)が今夏初めて先発マウンドに上がり、6球団のスカウトの前で快速球を披露。最速144キロで白鴎大足利を3安打8奪三振で無失点に抑え、センバツ出場校対決に7回コールドで完勝。4年ぶりの決勝に進出した。

 最高気温35度。うだる暑さのマウンドでも、佐野日大・田嶋は涼しい顔で飛ばした。ムチのように左腕をしならせて繰り出す直球は毎回、140キロ超えを連発。初回をテンポよく3者凡退に封じると、2回以降は毎回の8奪三振。2回に失策絡みで1死二、三塁を迎えても「気合を入れ、強気のピッチングを心掛けました」と見逃し三振、二ゴロで難なくピンチを脱した。最後の打者を打ち取ると、珍しく熱くなってグラブをたたいた。

 満を持しての今大会初先発。ここまでの4試合で計34得点の破壊力を誇る白鴎大足利に対しても、「かわったことはしていません。いつもどおりです」と苦もなくひねった。許したヒットは単打3本のみ。阪神葛西スカウトは「柔らかさと強さを兼ね備えている。キレで勝負するタイプ。いいストレートを投げる」と高く評価した。

 2季連続の甲子園を射程圏にとらえ、勝負のギアを一気に上げた。それでも「ベストピッチングにはまだ遠い。60~70点。立ち上がりをしっかり投げれば完璧だと思います」と納得しなかった。序盤はスライダーが抜ける場面もあったが、後半は低めに集めた。センバツ後の投球回数は、練習試合を含めても5回が最長。スタミナ面を不安視されたが、コールド勝ちの7回を「完投」した。7回も最速140キロを記録し、「不安はなかったです。全然大丈夫でした」と、言ってのけた。

 決勝の相手は夏3連覇中の作新学院。昨夏は準決勝で対戦し延長12回、0-1で完投負けした。「意識はあります。去年の借りもある。先輩たちの思いも背負い、しっかり勝ちたいです」。寡黙な左腕が、迷いなく「打倒王者」を宣言。リベンジを果たし、甲子園への切符を取りに行く。【岡崎悠利】