<高校野球香川大会:坂出商5-3大手前高松>◇27日◇決勝◇レクザムスタジアム

 坂出商が創立100周年に古豪復活ののろしを上げた。大手前高松を下し、20年ぶり8度目の夏の甲子園出場を決めた。相手の好投手、佐治直哉(3年)から14安打を放ってねじ伏せた。1955年(昭30)年夏に全国準優勝した強豪が、ノーシードから頂点に立った。

 勝利を確信する飛球がホーム後方に上がると、ガッツポーズを待ちきれなかった。エース左腕・金丸智哉投手(3年)はマウンドを駆け下り、相棒の沢井拓海捕手(3年)を両手で迎え入れた。20年ぶり8度目の甲子園。歓喜の中心で充実感に浸った。

 ノーシードで迎えた最後の夏をほとんど1人で投げ抜いた。疲れはたまっていた。それでも女房役の沢井が「球が走っていない分、気迫がこもっていた。練習の時からあいつの集中力はみんなが認めているから信じていた」と、粘りの投球に感謝した。

 春季大会3回戦で負けた大手前高松の走力はパワーアップしていた。序盤は芯を外した当たりが外野手の前に落ちるなど悪い流れ。盗塁とランエンドヒットで揺さぶられた。それでも味方の反撃を待った。金丸は「絶対逆転できると信じていた」。

 7回に4番金岡侑汰右翼手(3年)が同点打を放ち流れをつかんだ。迎えた9回。2死から3番川滝遼平三塁手(3年)の右翼越え二塁打。金岡が歩かされ2死一、二塁の場面で、5番掛上幸太郎一塁手(3年)の打球がイレギュラーバウンドして2点適時三塁打になった。掛上は「手ごたえは良かったので無我夢中でした」と笑顔で振り返った。

 まさに勝利の女神がほほ笑んだ。今年で創立100周年を迎える坂出商は、運動部を中心に周辺地域での清掃活動とあいさつ運動を徹底する。サッカー部、女子ソフトボール部、ボート部が次々と全国大会出場を決め、スタンドで声をからした。20年前の優勝メンバーも駆けつけた。そんな後押しに応え、野球部が甲子園を決めた。

 宮武正義監督(48)は「不思議なもので、今年はいいことばかりが重なってる」と振り返った。開幕試合をやってみたいと話していたら抽選で決定。ヘリコプターから投下された始球式のボールは坂出商ベンチに落下した。宮武監督は大阪・春日丘2年夏にメンバー外だが甲子園を経験。「県立で甲子園」を目指し、ちょうど四半世紀で夢がかなった。「甲子園でもこの子らなら何かやってくれそうです」と指揮官は期待を込めた。【浜口学】

 ◆坂出商

 1914年(大3)に綾歌商として創立された県立校。生徒数は529人(女子321人)。野球部は21年創部で部員数は45人。甲子園出場は春7度、夏は今回が8度目の出場で、71年春4強、55年夏準優勝。所在地は坂出市青葉町1の13。丸田温子校長。◆Vへの足跡◆1回戦8-2高松南2回戦8-1土庄3回戦10-3三本松準々決勝5-4観音寺中央準決勝7-4高松桜井決勝5-3大手前高松