<全国高校野球選手権:日本文理3-2東邦>◇18日◇2回戦

 勢いは本物だ。日本文理(新潟)が東邦(愛知)との接戦を制し、09年以来となる3回戦進出を決めた。2点を追う6回、1点を返してなお1死満塁で4番池田貴将主将(3年)が逆転の2点適時打を放った。「バンビ2世」こと藤嶋健人投手(1年)を攻略すると、ドラフト候補の飯塚悟史投手(3年)が1点のリードを守りきった。

 主将池田の意地の一打だった。2点ビハインドの6回。すべて直球を狙った3連打で1点差とし、犠打と四球でなおも1死満塁。2打席とも三振に倒れており「何とかチャンスで仕事をしたかった」と、燃えていた。初球。内角にきた直球を振り抜くと、打球は左前への2点適時打となった。「1年生の勢いに負けていられません。キャプテンの意地です」。一振りで逆転し、東邦の1年生藤嶋を引きずり下ろした。

 2回の第1打席は外角低めの直球に手が出ず、見逃し三振に倒れた。4回の第2打席は内角へズバッと決められ、またも見逃し三振。藤嶋に面白いように操られたが、「前の打席でインコースが良くなかったので(内角が)来ると思っていました」と冷静に分析していた。“バンビ対策”は直球打ち。そのため、スライダーの見極めを徹底した。打撃マシンでは直球だけを打ち、打撃投手にはスライダーを投げさせた。狙い通り、ここぞの場面で直球を仕留めた。1点をリードすると、エースの飯塚もリズムをつかみ、丁寧な投球で打ち取っていった。初戦の大分戦に続く完投で締めた。

 試合後、池田が2回戦にかけていた思いを打ち明けた。「実は、打倒愛知の思いは強かった」。5年前の決勝で日本文理が中京大中京に9-10で敗れた試合を見て、全国制覇を目標にした。今春のセンバツでは初戦で4強入りした豊川に延長13回サヨナラ負け。前夜の選手間ミーティングでも“敵討ち”と雪辱を誓っていた。

 3回戦は同じ北信越勢の富山商と対戦する。今春の北信越大会決勝戦では勝っている。大井道夫監督(72)は「1回やっているので悪い印象はない。左を代表する投手を何とか打ちたいね」と手ごたえを感じている。富山商の最速146キロ左腕・森田駿哉投手(3年)に、自慢の強力打線で真っ向勝負を挑む。【和田美保】