<センバツ高校野球:鹿児島工0-1平安>◇30日◇3回戦

 延長15回引き分け再試合の鹿児島工(鹿児島)は平安に0―1で敗れ、初のベスト8進出はならなかった。2日前に15回を完投したエース内村尚弘(3年)は右ひじの張りで登板を回避。代わりに先発した石堂達也(3年)が1失点完投と好投したが勝利につながらなかった。21世紀枠の華陵(山口)は天理(奈良)に1―10と大差で敗れ8強入りはならなかった。沖縄尚学(沖縄)と明徳義塾(高知)の対戦は雨のため31日、正午からに1日に順延された。

 引き分け再試合に持ち込んだ鹿児島工の勝利は、冷たい雨とともに流れた。仕切り直しは0―1の完封負け。大きな見せ場もつくれないまま終わった。

 2日前に15回、194球を投げたエース内村は疲労からくるひじ痛でマウンドを背番号10の石堂に任せて右翼に下がった。「夏を考えるなら、ここで無理をして後の試合が投げられなくなっては意味がないので」と前夜、中迫俊明監督(48)と話して出した結論だった。

 初回から好投する石堂を助けようとしていたが、4回2死から守備が乱れた。なんでもない右飛を内村がグラブからこぼして三塁打となった。その後の適時打を浴びて1失点。結局これが決勝点となった。「風とかを全然考えずに守備をしてしまった。自分が投げるべき試合で石堂がいきなり先発して難しかっただろうと思います。自分のミスで負けてしまって申し訳ないです」と内村はうつむいた。

 冬の間は練習後にランニングや85メートルダッシュ30本をこなし体力づくりに努めた。延長15回を投げ抜いたことで自信にはつながった。「体を治してまたここに戻って来たい」。悔しさを残したまま、夏の再来を誓って内村は鹿児島に戻る。【前田泰子】