<センバツ高校野球:明徳義塾1-3沖縄尚学>◇3月31日◇3回戦

 巨くんが、2試合連続完投で3年ぶりの8強進出を決めた。初戦で完封した沖縄尚学・東浜巨(なお)投手(3年)が、明徳義塾を1失点に抑え、3-1で破った。最速146キロで、4奪三振ながら内野ゴロ15個と打たせて取った。主役不在のセンバツに輝くスター候補生が、99年以来の優勝に突き進む。1日の準々決勝は千葉経大付、聖望学園(埼玉)の関東勢が、4強進出をかけて登場する。

 最後の打者をスライダーで空振り三振に仕留めると、東浜はガッツポーズをつくった。「最後は自分で締めたいと思っていたので、いい形で終われました」と東浜から笑みがこぼれた。

 初戦の147キロには及ばなかったが、最終回に146キロを計測。打席の内側ギリギリに立つ明徳義塾打線にも、思い切って内角を攻め、決め球ツーシームで内野ゴロを打たせた。打っては4回2死三塁でタイムリーを放ち貴重な追加点。「打てたのが信じられないです」と、思わぬオマケに顔をほころばせた。

 181センチ、69キロ。スラリとした体形は幼いころから変わらない。これでも秋から4キロ太った。「九州大会で内地の選手をみるとみんな大きかった」とパワーアップに挑戦。「小さいときから食が細くて怒られながらご飯を食べていました」と父忠さんが言う東浜が、冬の間は寝る前に丼1杯のご飯を食べることを決め、さらにプロテインも飲んで体重増加に努めた。

 体調管理にも気を配った。赤い手袋がトレードマークで「指先の感覚を大切にしたいから」と、東浜は指を保護している。昨夏の沖縄大会準決勝で両足がけいれんして途中交代。「あれから人一倍自分の体に気を使うようになりましたね」と比嘉公也監督(26)も頼もしそうだ。

 明徳義塾を倒して3年ぶりの8強入りを果たした。「先のことを考えると集中力がなくなるので目の前の試合だけ意識していきます」。次は天理。1段ずつステップを上がり、優勝旗をもう1度沖縄へ持ち帰る。【前田泰子】