<センバツ高校野球:北照5-4自由ケ丘>◇30日◇2回戦

 北照(北海道)が神懸かり的なバントで北海道勢17年ぶりの8強進出を決めた。3-3の9回表2死三塁で2番木村悠司内野手(3年)が「打席に入る前からやろうと決めていた」とセーフティーバント。三塁線に転がった打球は最初、三本間の途中で白線のほうに切れていったが、途中から真っすぐ転がり、最後は白線の内側約10センチ、フェアゾーンでピタリと停止。打球を相手が見送る間、三塁走者の金沢は勝ち越しのホームを走り抜けていた。

 グラウンドはファウル側に緩やかな傾斜がついているため、球に斜めの回転があれば切れていくのが普通。甲子園のグラウンド整備を担当する阪神園芸の関係者は「めったに見ることのない打球。縦回転がかかっていた」と驚いた。木村は7回2死三塁でも二塁へプッシュバントを成功させて走者を迎え入れた。エース又野が負傷で5回途中で降板するアクシデントを、木村の小技で乗り越えた。【中尾猛】