第90回の記念大会となる全国高校野球静岡大会(7月5日開幕、草薙球場ほか)の組み合わせ抽選会が21日、静岡市で行われた。県勢では戦後初となる4季連続甲子園を目指す常葉学園菊川は、13日の2回戦で聖隷クリストファー-大仁の勝者と対戦が決まった。6月に内野の控えだった高瀬旭弘(3年)を正捕手にコンバート。新たな布陣で夏に臨む。開幕戦は、昨年4強の静清工-同16強の静岡東という強豪同士の好カードとなった。選手宣誓は、日大三島・芦川翼主将(3年)が行う。

 抽選会場がどよめいたのは、常葉学園菊川の隣に強豪の聖隷クリストファーが入った時だった。くじを引いた常葉学園菊川・前田隆一(3年)は「いきなり聖隷となるのはいやですけど(ブロックは)結構厳しいという程でもない。とにかく甲子園に行くしかない。初戦に勝って勢いをつけたい」と、表情を引き締めた。

 準々決勝(対常葉学園橘)で敗退した春季県大会後、コンバートを決行した。大会を目前に控えた6月に入り、正捕手に内野の控えだった高瀬を抜てき。佐野心監督(41)は「野島、戸狩と左右に140キロ級がいながら、橘に10点以上取られた。これは投手の調子が悪いという次元ではない。(捕手が)内角直球を放らす努力が欠けていた」と理由を説明。野球知識が豊富で、人望のある高瀬に扇の要を任せることを決めた。

 中学から内野一筋の高瀬は、小学校以来、捕手経験がなかった。しかも左手首はキーンベック病(月状骨軟化症)で痛みを抱えている。それでも「試合に出られるなら(捕手を)やりたい。チームが勝つためにプレーしたい。手首はこれ以上悪くならない。最大限のケアをしていきます」と覚悟を決めた。当初はミットで反応しようとしてショートバウンドを止められなかったが、練習を重ねて胸で止めることを覚えた。

 性格の明るい高瀬が捕手に入ると、チームの雰囲気が向上するという。エース戸狩聡希(3年)は「元気よくてテンポがいいのでやりやすい」。野島大介投手(3年)も「よく野球を知っているので指示がいいし、明るいからバッテリーに一体感があります」と歓迎する。

 土壇場に来ての正捕手変更にはリスクが伴うが「高校生は急に伸びる。迷いはない」と佐野監督。新布陣で、県では戦後初となる4季連続甲子園出場を狙う。【斎藤直樹】