<高校野球東千葉大会:銚子商10-0勝浦若潮>◇12日◇1回戦

 銚子商の「親子鷹」が甲子園出場に向け順調なスタートを切った。4点リードで迎えた6回裏、伝統の「黒潮打線」が火を噴いた。斉藤俊之監督(49)の長男之将(ゆきのぶ)右翼手(3年)の内野安打を皮切りに5安打2四死球で一挙6点を奪い6回コールド勝ちした。

 自宅を出る前、之将は祖父一之さん(元監督=享年60)の墓前に手を合わせた。実は一之さんが亡くなったのは之将が生まれる半年ほど前。野球をする姿は見せていないが、病床で母正代さん(48)のおなかの子が男の子だと言い続け、心待ちにしていたのを聞いていた。その祖父に「自分のやってきたことを信じて思いっきりやります。天国から見守っていてください」と伝えた。

 斉藤は、監督の息子、元監督の孫という重圧を受け続ける。それでも「最後なんだから自分を信じて思いっきりやれ」と、これまで試合前に家で声をかけることのなかった監督からのエールを胸に前を向く。親から子、子から孫へ、夢は継承される。