<高校野球宮城大会:仙台工6-5古川学園>◇13日◇3回戦

 仙台工が劇的な逆転勝ちで、古川学園から金星を挙げた。土壇場9回に、一気に4点を奪い同点に追いつくと、延長10回に決勝点を挙げて逃げ切った。現役時代、3度甲子園を経験した岩渕正典監督(41)に率いられたナインが、今春の東北大会出場校を破った。志津川も後藤俊(2年)―遠藤丈茂(1年)の完封リレーで、昨夏準優勝の仙台商を破る殊勲の勝利を挙げた。

 ドラマは敗色濃厚の9回に幕を開けた。0-4と絶体絶命の状態から2本の適時打で1点差に詰め寄り、加藤慧汰(3年)の中犠飛で奇跡的に追いつく。この回は同点止まりも、10回に宍戸周平(2年)の適時二塁打などで2点を勝ち越した。その裏、6回途中から登板していた今野大輔(3年)が1点を返されるも何とか最後の打者を抑え、雄たけびを上げた。ナインは狂ったように抱き合った。

 「甲子園」を合言葉に、強豪を破った。就任3年目の岩渕監督は、東北高で84年夏、85年春、夏と甲子園に出場。三塁手として当時のエース佐々木主浩氏(40=日刊スポーツ評論家)とともに大舞台に立った。昨夏、部員を連れて甲子園の開幕試合を観戦。それが全国制覇した佐賀北の一戦だった。宍戸は「同じ公立高校が甲子園に出るだけでもすごいのに、まさか日本一になるなんて。自分たちもできると思った」と“あの日”のことを振り返った。

 今年から新しいユニホームに袖を通す。デザインはナインが相談して決めた。現役時代と同じ縦じまを要望した岩渕監督も「新しい歴史をつくる意味でも、次も負けられません。この子たちは、甲子園に行ける力を持っています」と自信たっぷりに話していた。【由本裕貴】