<高校野球西愛知大会:東邦12-9愛知啓成>◇26日◇決勝

 東邦が愛知啓成を下し、6年ぶり15度目の夏の甲子園出場を決めた。初めて決勝に駒を進めた愛知啓成との対戦で中盤までに11点を奪ったものの6回に8点を返されるなど両チーム合わせて33安打21得点の乱打戦を制した。また、決勝後に本大会の組み合わせ抽選会が行われ、大会5日目第2試合で北海(南北海道)と対戦することが決まった。

 9回2死一塁。最終打者のゴロを松永貴文遊撃手(3年)が捕球し、二塁ベースを踏んだ瞬間、6年ぶり15度目の夏の甲子園出場が決まった。マウンドにはユニホームを泥だらけにしたナインの歓喜の輪ができた。就任4年目の森田泰弘監督(49)にとっても監督として初めての夏の甲子園。ベンチ前で選手を見つめた指揮官は「こいつらで負ければどうやって甲子園に行けるんだ。絶対に勝てると思っていた」と話した。

 序盤から圧倒的に攻め立てた。1回。1死一塁から3番清水翔大一塁手(3年)が右翼席への2ランで先制すると5回にも3番清水がこの日2本目の2ラン。5回終わって11-0と大量リードを奪った。しかし6回の愛知啓成の猛反撃で8点を失い、流れを手放しかけたが、しのぎ切った。新チーム結成後、昨秋と今春の県大会ではともに3回戦敗退。勝つことの難しさを思い知らされてきた“経験”が大一番で生きた。

 東邦は全国でも屈指の大所帯。阪口慶三前監督(64=現大垣日大監督)時代は1学年20人程度だったが、現在は愛知県最多の150人の部員数を誇る。「全員がしっかり練習できるように」(森田監督)と練習は同時に複数個所で行われ、早朝、放課後と2部構成。平日は森田監督とコーチ2人、土日はコーチ4人が指導に当たる。森田監督はピンマイクでグラウンドの隅まで声を届かせる。人数が多くてもチームとしての一体感は変わらない。ベンチ入り20人は150人の気持ちを背負っていた。

 甲子園の初戦は大会5日目第2試合で北海(南北海道)と対戦する。東邦はセンバツでは50勝23敗。4度の優勝を誇るが、夏の選手権では14勝14敗。77年の準優勝が最高成績だ。森田監督は「私に課せられた使命は(夏の甲子園での)全国優勝」と言い切った。主将の山田祐輔捕手(3年)は「思い切りやるだけです。自分たちの力をすべて出し切って全国優勝したい」と意気込む。6年ぶりに夏の甲子園に乗り込む東邦が“全員野球”で旋風を巻き起こす。【桝井聡】